ふるさと納税はワンストップか、確定申告か?

ふるさと納税の仕組みをざっくりおさらい

~ただの“お得制度”じゃない!あなたの寄附が地域を支える~

「ふるさと納税って、お肉とかフルーツとか海産物がもらえるんでしょ?
あれ、超おトク!」

――はい、それ、半分正解。でも、半分間違いです。

実はこの制度、「地方を応援したい人が、応援したい自治体に直接寄附できる」という、れっきとした“税の使い道を選べる制度”なんです。

◆ なぜ生まれた?ふるさと納税のそもそも目的

もともと、日本の税金って、
・働いている場所(=都市部)に税金が集まりがち
・生まれ育った町や過疎地にはお金が届きにくい

という問題がありました。

そこで、「いやいや、それじゃ地元が困るやん!」ということで登場したのがふるさと納税。

「都会で働いているけど、ふるさとの町に恩返しがしたい」
「応援したい自治体がある」
そんな人のために、税金の一部を“自分の意思で振り分けられる”制度としてスタートしたのです。

つまり本来は、「自治体への応援制度」であり、「返礼品をもらう制度」じゃないんです。

◆ とはいえ、返礼品の魅力は無視できない

…とはいえ、正直、ほとんどの人がこう思ってますよね。

私自身も、お米はふるさと納税で1年間分頼んでおいたもの。(お値段がこんなに上る前だったので超お得でした!)冷凍庫の中にはふるさと納税で頂いた、鮭とサバとホタテが常にスタンバイ。
冷凍庫がパンパンになるので、そういうときはトイレットペーパーやティッシュがオススメです。買い物であの手が痛い思いをしなくてすみます。

実際、寄附を集めるために、自治体も工夫を凝らしています。
ある自治体は、アマゾンギフト券にしたり、お墓掃除代行などを取り入れてみたり(アマギフはどうかと思うけど、お墓の掃除代行はその地域で新たに仕事が生まれてていいですよね)
ふるさと納税が「ふるさとビジネス」と化しているのも事実。

でもせっかくなので、「この寄附が、この町の子育て支援に使われるんだ」とか、
「このお米を育ててる農家さんを応援したい」みたいに、少しでも想いを込められたら、それはすごく素敵な納税です。

なにせ、自分の自治体にどれほど住民税を納めても、「●●のために使って欲しい」とか、住人の意思とは関係なく使われていくものです。一方、ふるさと納税では、海をきれいにするために使って欲しいとか、子育て支援のために使って欲しいとか、想いを込められるんですよ!

なので、個人的には、旅行に行って、楽しかったなぁ…お世話になったなぁ…あの味残したいなぁ…と思って寄付したのが「九州の醤油&味噌セット」

◆ 控除の仕組み:2,000円で応援できる

さて、お得の話も忘れずに。
ふるさと納税は「寄附」ではありますが、その大部分が税金から戻ってくるのが最大の特徴。

◎ 控除額の基本:
寄附額 − 2,000円 = 控除される金額

つまり、実質2,000円の自己負担で、地域を応援できて、特産品も届くという、いい意味でズルい制度です。

◆ 控除される税金の中身は?

控除されるのは主にこの2つ:

  • 所得税(確定申告した人のみ)
     → 翌年春に「還付金」としてお金が戻ってきます
  • 住民税
     → 翌年6月以降に減額された住民税通知書が届きます

ただし、どっちから控除されるかは“申請方法”によって変わります。
ここで出てくるのが、今回の主役、

「ワンストップ特例」か「確定申告」か問題!

選択の分かれ道:ワンストップ特例制度とは?

~確定申告したくない人、でもちょっと待って~

「ワンストップ特例」は、確定申告が面倒な人にとっては救世主のような制度。
ですが――
税の世界には、“簡単な制度には裏がある”という法則があるのです(勝手に命名)。

今回は、ワンストップ特例の仕組みと、その“税収の行方”にも切り込んでみましょう。

◆ ワンストップ特例とは?ざっくり復習

まずはおさらい。

「確定申告しなくても、ふるさと納税の控除が受けられる制度」

【条件】

  • 給与所得のみなどで確定申告が不要な人
  • 寄附先が5自治体以内

制度を使うには、寄附ごとに申請書を提出
寄附先の自治体が、あなたの住んでる自治体に「住民税を控除してね」とお知らせしてくれます。

そして、住民税がしれっと減額される――これがワンストップ特例です。

◆ 実は税の流れが違う!住民税vs所得税

ここで、ちょっと大人の話を。

ワンストップ特例を使うと、
減額されるのは「住民税」のみ。
国にはビタ一文、還付を求めません。

でも、確定申告をすると、「所得税(=国税)」も還付対象になるのです。

申請方法控除対象の税金税金の流れ
ワンストップ特例住民税のみ寄附先自治体 → あなたの自治体の住民税が減額
確定申告所得税 + 住民税(一部)所得税は国が還付、住民税は自治体で減額

つまり――
あなたが確定申告を選ぶと、「国税(所得税)」も負担してくれる
でもワンストップ特例を使うと、すべて“あなたの住んでる自治体の住民税”から控除されます!

先日、市役所に行ったら「ふるさと納税で流出額●●●万円!」みたいなポスターを見たのですが、住んでいる人が多く、法人も少ないような世田谷区などは特に、ふるさと納税によって財政が難しい事になっている…というのをニュースでみたことある人もいるのではないでしょうか?
う~ん…自治体にはお世話になってる自覚はある。でも、ふるさと納税をしたい…
そんな悩ましい状況の人は確定申告もご検討下さい!

◆ 住んでる自治体に優しいのは、実は「確定申告」!

意外な事実ですが、
確定申告で控除すると、あなたの住んでる自治体の負担が少なくなるんです。

たとえば、あなたが3万円ふるさと納税をした場合:

  • ワンストップ特例を使う
     → あなたの住民税から2万8,000円分がゴッソリ引かれます
     → 住んでる自治体の税収がガクッと減ります
  • 確定申告をする
     → 所得税から6,000円還付(※例)、住民税から2万2,000円控除
     → 住んでる自治体の負担は一部だけ

つまり、

「私はこの町に住み続けるし、地元にもお金が回ってほしい」
という方は、確定申告を選んだほうが“地域経済にやさしい”とも言えます。

◆ 忘れちゃいけない“申請忘れ”リスク

申請書は多くのサイトで「寄附時にチェックを入れるだけ」でOK。
が、忘れた場合は自力で取り寄せて送るハメになります。

● 提出先:寄附先の自治体(寄附ごとにバラバラ)
● 提出期限:翌年の1月10日まで!

ワンストップ特例の弱点は、
申請書の提出が「自分任せ」なところ。

年末に慌てて寄附したものの、申請書を出し忘れて、
「控除されてなーい!(涙)」
という人、実はけっこう多いです。

◆ 確定申告って、実は今や“ポチポチ申告”!

「確定申告なんて、税務署に行って、分厚い書類をもらって、順番待ちして、電卓叩いて…」
そんな昭和なイメージ、今すぐアップデートしましょう。

現在の確定申告は、

  • スマホでできる
  • マイナンバーカードを読み取るだけで本人確認も完了

ふるさと納税の寄附先も、1サイト使っていれば自動で取り込みOK

と、めちゃくちゃ進化してます。

◆ 実際どれくらい簡単?

筆者も試してみましたが、

「ふるさと納税だけの申告なら、30分どころか、15分で完了も余裕!」

しかも…

  • 寄附証明書を写真に撮ってアップロード? → いりません!(データ連携OK)
  • 税務署に行く? → 行きません!むしろ混んでて行きたくない!
  • 書類を印刷? → e-Taxで送信して完結!
  • 費用は?→無料!(スマホ使えばカードリーダーも不要!)

2025年3月に行った確定申告では見た目もスッキリしてとても見やすくなってて、やりやすかったです。
過去にやったけど、よく分からなかった…という人もぜひ、再チャレンジを!
筆者は10年間、自分の確定申告を行ってきて、2025年が一番やりやすかったです。
国税庁、お金かけてがんばってんなぁって思います。

◆ 寄附サイトを1つにまとめると、なお簡単!

たとえば、「さとふる」や「楽天ふるさと納税」「ふるなび」など、1つのサイトで寄附をまとめておけば、
そのサイトが電子証明書の「寄附金控除に関する証明書」を1ファイルにまとめてくれるので超ラク。

あとは、そのファイルを国税庁の申告システムにアップロードするだけです。
めっちゃ簡単。費用もかからない!
確定申告に苦手意識ある人も簡単過ぎて、「何が苦手だったんだっけ?」と思うレベルかも知れないです。

◆ 確定申告のメリットは、ラクさだけじゃない

  • ワンストップより自治体に優しい(←第2章で解説済)
  • 住民税だけじゃなく、所得税からも返ってくる(1ヶ月程度で還付されて嬉しい!)
  • 他の控除(医療費・住宅ローン)とも一括で申請できる
  • 間違えても訂正しやすい(e-Taxで再提出も可能)

つまり、

“ワンストップ特例より実は親切で便利な制度”が確定申告

なのです。

◆ 「確定申告=怖い」はもう古い!

税金の世界に“令和の風”が吹いてきてます。
ふるさと納税だけの人なら、

  • マイナンバーカード持ってる
  • スマホかパソコンがある(パソコンの場合は、専用のカードリーダーが必要)
  • この2つが揃っていれば、「今年から確定申告デビュー」しても大丈夫!

むしろ、やってみると「え?こんな簡単なら最初からやってればよかった…」って思う人、多いです。

実はココが違う!ワンストップ特例と確定申告の“税の流れ”

~控除の内容もタイミングも、全然ちがうんです~

ふるさと納税って、「2,000円の負担で控除される」っていうけど、
その“控除”って どこから?いつ?どうやって? 引かれてるんでしょうか?

答えは、申請方法によって違う!です。

◆ 控除の流れをざっくりまとめると…

項目ワンストップ特例確定申告
控除される税金住民税のみ所得税 + 住民税
控除されるタイミング翌年6月以降の住民税から自動減額所得税は3月頃還付/住民税は6月以降減額
控除を実感できる時期6月の住民税決定通知書を見て「あっ、減ってる」確定申告後1~2ヶ月で還付金が入金される
還付金の振込なし(控除されるだけ)あり(所得税の還付あり)

◆ イメージで理解しよう:控除の流れのちがい

◎ ワンストップ特例の場合

あなた → 自治体A, B, C に寄附(最大5自治体まで)

各自治体 → あなたの住んでる市町村に「住民税控除してね」通知

翌年6月の住民税が減額(所得税は一切関係なし)

◎ 確定申告の場合

あなた → 複数自治体に寄附

あなた → 税務署に確定申告(e-TaxでOK)

所得税が還付(約1~2ヶ月後)

住民税も翌年6月から一部減額

◆ 具体的な金額例で比較してみよう!

たとえば、3万円分のふるさと納税をした場合(控除上限内と仮定)

【ワンストップ特例】

  • 控除対象額:3万円 − 2,000円 = 2万8,000円
  • すべて翌年の住民税から差し引かれる
  • 所得税は変わらず
  • 還付金はゼロ、6月の通知書で気づく

【確定申告】

  • 控除対象額:同じく2万8,000円
  • 内訳例:所得税から6,000円還付、住民税から2万2,000円控除
  • 還付金:3月~4月頃に口座に入金!
  • 6月から住民税も軽くなる
  • 「早くお金が戻ってきてほしい人」
  • 「少しでも現金で得した気分を味わいたい人」
  • そんな方は、確定申告一択です!

◆ 控除タイミングの違いは、家計管理にも影響アリ

タイミングメリット注意点
ワンストップ特例手間が少ない、申請書だけで完了控除が6月まで反映されず、気づきにくい
確定申告還付金で直接“現金が戻ってくる”快感がある申告ミスすると控除されないので要注意

「確定申告って面倒そう…」というイメージで敬遠されがちですが、
還付金が入ってくる喜びと、住民税もちゃんと軽くなるのを体験すれば、
「来年もやるわコレ」ってなること請け合いです。

しかも、申請書は市区町村によっては切手が必要なのに対し、確定申告ならそれさえ不要!え?小さいこと気にしすぎ?いやいや、切手を買いに行く手間もお金も両方省きたいんです!!

よくある勘違い・失敗事例集

~「え、控除されてない!?」「それ無効です」地獄の声、まとめました~

ふるさと納税は「寄附して、申請して、控除される」だけのシンプルな仕組み。
…のはずなんですが。
実はこの制度、「ちゃんとやったつもりで、控除されてない人」がめちゃくちゃ多いんです。

ここでは、よくある失敗パターンをまとめました。
「これ、やったことある…」と背筋が凍ったら、すぐチェック&再確認を!

◆ ケース①:ワンストップ申請書、出したつもりだった…

12月30日に寄附して満足してたら、申請書の提出を忘れてた!

これはふるさと納税ミスあるあるNo.1です。
寄附したら安心して、申請書は出し忘れ。
しかも提出期限は翌年1月10日まで!
お正月ムードでうっかりすると、もうアウト。

対策:寄附と同時に申請書も申し込む+年内に出す!

◆ ケース②:6自治体目に気づかず、ワンストップ無効

よく考えたら、6つ目の自治体にも寄附してました…

これもよくある罠。
ワンストップ特例は「寄附回数」じゃなく「自治体数」でカウントします。

1つの自治体に5回寄附 → OK
6つの自治体に1回ずつ → NG(確定申告しないと控除されない)

対策:寄附先をカウントしよう!年末に「自治体数チェック」を!

◆ ケース③:ワンストップ出したのに、確定申告して無効化…

医療費控除もあるから確定申告したけど、ふるさと納税の申告は忘れてた!

これ、地味に大損するパターンです。

ワンストップ特例は、確定申告をすると自動的に無効化されます。
そして、確定申告書にふるさと納税を記載しなければ、控除がまるっと消えます。

対策:確定申告するときは「ワンストップ分もぜんぶ申告」!

◆ ケース④:転職・引越し・退職で控除されない!

申請書に前の住所書いちゃった…

退職して住民税払ってない時期があった…

住民税が正しく処理されるには、住んでる市区町村と申請内容が一致していることが大前提
住所変更や退職などがあると、控除されないケースも。

対策:申請書の住所・マイナンバーは正確に!転職・引越しがある年は確定申告の方が安全。

◆ ケース⑤:控除上限オーバーしてた!

調子に乗って10万円寄附したら、7万円分しか控除されなかった…

ふるさと納税には、年収や家族構成による控除上限額があります。
これを超えると、自己負担が2,000円じゃ済みません

対策:ポータルサイトの「控除上限シミュレーター」を活用!

◆ ケース⑥:証明書が足りない・間違えた!

「寄附金証明書が手元にない!」
「複数サイトで寄附して証明書がバラバラ!」

確定申告する場合、寄附証明書の添付は必須。
複数の証明書が何枚も届いて面倒&紛失しがち。

対策:なるべく1つの寄附サイトにまとめると管理が楽。PDF証明書の一括発行サービスも活用!

◆ 小ネタ:寄附した自治体に連絡すれば、証明書の再発行やミス修正も可能です!

「もうダメかも…」と思っても、諦めないでください!
ふるさと納税の申請や証明書は、寄附先の自治体に連絡すれば対応してくれることがほとんど。

まとめ:あなたに合った方法で、損せずふるさと納税を!

~返礼品だけもらって終わり…にならないように~

ふるさと納税は、
✔ 自分で選んだ自治体に寄附ができて
✔ 豪華な返礼品ももらえて
✔ しかも税金から控除される

という、使いこなせば最高にお得な制度です。

でも、制度の“使い方”を間違えると――
「寄附したのに控除されなかった…」
「申請書出したのに無効になってた…」
という悲劇も普通に起こります。

◆ あなたに向いているのはどっち?最終確認!

項目ワンストップ特例確定申告
こんな人におすすめ給与所得のみ・寄附は5自治体以内・他に控除なし自営業・副業あり・医療費控除あり・寄附先が多い
控除される税金住民税のみ所得税+住民税
控除されるタイミング翌年6月~の住民税で減額所得税は3月頃還付、住民税は6月~減額
手続きの手間やや少なめ(でも郵送作業あり)電子申告なら意外とラク、スマホで完結可
還付金あり?なしあり(早ければ翌月入金)
地元への優しさ△(住民税だけ減る)◎(国税も負担、自治体の税収にやさしい)

◆ 申請・提出の期限をチェック!

やること締切
ワンストップ特例申請書の提出翌年1月10日必着!
確定申告(寄附の記載を忘れずに)翌年3月15日まで(e-Taxなら24時間OK)

◆ 手続きの流れ:寄附から控除までを1枚に!

◎ ワンストップ特例

  1. ふるさと納税(年内)
  2. 寄附先から申請書が届く(または自分で印刷)
  3. 申請書を1月10日までに自治体へ郵送
  4. 翌年6月~ 住民税が減額
  5. 控除完了!(所得税の還付はなし)

◎ 確定申告

  1. ふるさと納税(年内)
  2. 翌年2月~3月:確定申告(e-Tax or 郵送)
     └ 寄附金控除欄に記入+証明書を添付またはPDF提出
  3. 所得税が1〜2ヶ月で還付(現金で入金!)
  4. 住民税も6月~減額
  5. 控除完了!(こっちは所得税も含む!)

◆ 最後にひとこと:制度は「使い方」がすべて!

ふるさと納税は、
「おいしい制度」だけど、仕組みはちょっと複雑。

でも、
制度をちゃんと理解して使えば、住んでる町にも、寄附先にも、あなた自身にもやさしい仕組みです。

めんどくさいからワンストップ、
なんとなく確定申告…
ではなく、あなたに本当に合った方法を、ちゃんと選んでください。

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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