先日、ハワイと京都、それぞれの宿泊税について調べてたら、ふと思ったんですよ・・・

どっちのほうが観光客多いんだろう…
税金は全く関係ないけれど、興味あったので調べてみました!
項目 | 京都市 | ハワイ州 |
---|---|---|
人口 | 約146万人(2020年) | 約145万人(2020年) |
面積 | 約827 km² | 約28,311 km² |
人口密度 | 約1,765人/km² | 約51人/km² |
年間観光客数(最新データ) | 約5,606万人(2024年) | 約1,038万人(2019年)※ |
国内観光客数 | 約4,518万人(2024年) | ―(海外中心) |
外国人観光客数 | 約1,088万人(2024年) | 主に米本土・日本・カナダ・韓国など |
宿泊客数(内訳) | 外国人:約821万人、日本人:約809万人(2024年) | 長期滞在が多く、1週間前後が平均 |
主な課題 | 市民生活と観光のバッティング(混雑・交通) | 自然環境やインフラへの負荷(渋滞・サンゴ破壊など) |
ハワイはアメリカの州の1つでして、意外と大きいです。
日本で比較すると、四国の陸地面積と近しいものがあります。
上記のハワイの面積は海の面積も含めて。陸地部分だけだと約 16,635 km²です。
その州全体と、京都市(京都府ではなく京都市!)の人口がほぼ一緒!!
これは良い比較ができるのでは?と思い色々調べてみました。
京都とハワイのオーバーツーリズム
京都は「住民との衝突」
京都にやってくる観光客は年間数千万人規模。国内旅行や修学旅行に加えて、訪日外国人の増加もあり、清水寺や嵐山は常に大混雑です。
問題はその観光ルートが「市民の生活路線」と完全に重なること。
例えば、市バスは通勤や通学に使われますが、観光客が一気に押し寄せることで、地元の人が乗れないという事態も起きています。
つまり京都の課題は「観光客の数そのもの」というよりも、住民の暮らしと観光が物理的にバッティングしてしまうことにあるのです。
京都の来客層の特徴
- 国内観光客が圧倒的に多い
訪日外国人も増えていますが、いまだに国内からの修学旅行・団体旅行・個人旅行が大きな割合を占めています。
項目 | 数値(2024年) |
---|---|
総観光客数 | 5,606万人 |
うち日本人観光客数 | 4,518万人 |
うち外国人観光客数 | 1,088万人 |
外国人宿泊客数 | 821万人 |
日本人宿泊客数 | 809万人 |
意外にも宿泊客は少なめで、4000万人弱の人が日帰り京都をしています。
- 短期・集中型の観光
1泊2日・日帰りで「清水寺→金閣寺→嵐山」などの定番ルートを回るスタイルが主流。
外国人の京都市での平均宿泊日数は2.1泊、日本人で1.69泊なので、どちらも短期間で京都を楽しんでいます。 - 季節要因が強い
桜や紅葉シーズンに集中し、その時期は市民生活に支障が出るほどの混雑。
3月15日くらいまでが穴場らしいです。 - 低~中価格帯宿泊が多い
ビジネスホテルやゲストハウスなどを利用し、「食べ歩き・観光地巡り」が目的。
最近では、外国人向けに1泊10万円する一投 - 公共交通依存
バスや電車に集中し、市民の通勤・通学とバッティングするのが悩みの種。
ハワイのオーバーツーリズムは自然環境への負荷
一方のハワイは、年間約1,000万人前後の観光客が訪れます。京都に比べれば数は少ないですが、州全体の人口が145万人しかいないことを考えると、その存在感は圧倒的です。
観光客の多くはアメリカ本土や日本からの長期滞在者。滞在日数も1週間以上が平均で、レンタカーを借りて島中を巡ります。
その結果、道路の渋滞や駐車場不足が深刻化し、さらにビーチや珊瑚礁へのダメージが大きな問題に。
ハワイの課題は「市民生活の混雑」ではなく、自然環境やインフラへの負荷なのです。
地域 | 宿泊客数 | 平均宿泊日数 | 延べ宿泊者数(人泊) |
---|---|---|---|
京都市(2024年) | 約1,630万人(内外国人821万、日本人809万) | 外国人2泊・日本人1.5泊 | 約2,850万人泊 |
ハワイ州(2019年) | 約1,038万人 | 約8.9泊 | 約9,200万人泊 |
京都と比較すると圧倒的に多いのが宿泊日数。
宿泊すれば、トイレやお風呂なども使うし、生活排水も増えて水質汚濁につながり、移動に車を使えば排気ガスも増え、大気汚染にも繋がります。
両者とも「自然環境や市民が困っているなら観光客を減らしたら良いんじゃない?」と思われるかもしれませんが、そうもいかない・・・のが経済的なメリットです。
オーバーツーリズムの経済的メリット
よそ者からしたら「オーバーツーリズム?もっと税金上げて来れなくしちゃえば???」と、言いたくなるかもしれませんが、実際にはそうされると困ってしまう人もでてきてしまいます。
ここでは、観光がもたらす経済的メリットを上げてみます。
京都府の経済的メリットとは?
京都といえば「日本の顔」として、国内外から年間数千万人の観光客が訪れる世界有数の観光都市です。
観光は混雑や生活への影響などの課題も抱えていますが、一方で京都にとって欠かせない大きなメリットをもたらしています。ここでは、その代表的な効果を見ていきましょう。
経済への波及効果
観光の最大のメリットは、地域経済に直接的な潤いをもたらすことです。
2023年の京都市における観光消費額は約1兆5,366億円。そのうち外国人観光客が占める消費は5,000億円を超え、全体の約3分の1にのぼります。宿泊・飲食・買い物・交通といった幅広い分野にお金が循環し、数万人規模の雇用を生み出しています。
さらに、宿泊税収入だけで年間40億円規模に達しており、この財源が観光インフラや文化財の維持修復へ再投資されることで、地域経済の循環が強化されています。
文化財の維持と発信
京都の街には、世界遺産を含む数多くの寺社仏閣や歴史的建造物が点在しています。これらは維持や修繕に莫大な費用がかかりますが、観光客の拝観料や寄付がその大きな支えとなっています。
また、訪れる外国人観光客が「茶道」「和菓子」「着物体験」などに触れることで、日本文化の価値が世界へと広がります。観光は単なる経済活動にとどまらず、文化そのものを次世代へ引き継ぐ仕組みになっているのです。
地域産業の発展
観光は伝統工芸や地元の農産物にも追い風を与えます。
たとえば、西陣織や京焼といった工芸品は、お土産や海外への販路拡大につながり、京野菜や抹茶、日本酒は「京都ブランド」として世界的に注目を集めています。
特に外国人観光客は一人あたりの消費額が高く、高級料亭や旅館、体験型サービスの利用に積極的です。こうした消費行動は地元産業の価値向上や新しいビジネス創出に直結します。
国際交流とソフトパワー
京都は外国人にとって「日本文化の象徴」ともいえる存在です。観光をきっかけに留学や研究で滞在する人も増え、国際会議や文化イベントの開催地としての役割も果たしています。
こうした動きは単に経済的な効果にとどまらず、日本のソフトパワーを世界へ発信する重要な役割を担っています。観光客は「消費者」であると同時に「文化の伝え手」でもあるのです。
長期的な効果と地域の未来
観光客の中には、京都をきっかけに再訪や長期滞在をする人も少なくありません。リピーターの存在は安定的な観光需要を生み出し、さらには「京都で暮らしたい」「京都で働きたい」という移住・定住ニーズへとつながります。
人口減少が進む日本において、観光を通じて人の流れを呼び込み、地域に新たな活力をもたらすことは非常に大きな意味を持っています。
ハワイ州の経済的メリットとは?
南国リゾートとして世界中の人々を惹きつけるハワイ。年間約1,000万人の観光客が訪れ、州経済の中で観光が占める割合はきわめて大きなものとなっています。ここでは、ハワイ観光のもたらす主なメリットを見ていきましょう。
経済を支える基幹産業
ハワイの観光消費額は2019年に約180億ドル(約2.5兆円)に達し、州経済の約2割を占める基幹産業となっています。
宿泊、レストラン、アクティビティ、ショッピングなどに広く消費が波及し、21万人以上の雇用が観光産業によって直接・間接に支えられています。
さらに、観光収入は州税収の安定財源となり、教育やインフラ整備、自然保護などにも活用されています。観光はまさにハワイ経済の「屋台骨」です。
高い観光消費単価と長期滞在
京都が「短期・人数型」の観光であるのに対し、ハワイは「長期・高消費型」の観光が特徴です。
- 平均滞在日数は約8.9泊(2019年)
- 1人1日あたりの支出は約195ドル、日本人観光客は240ドル超
滞在が長い分、宿泊・レンタカー・ツアー・ゴルフ・ショッピングと消費が多方面に広がり、地元経済へのインパクトが非常に大きくなります。
農業・特産品への波及
観光需要は農業や食文化にも波及しています。
コナコーヒーやマカダミアナッツ、トロピカルフルーツといった農産物は観光客の消費や土産需要で支えられており、地元農業のブランド化・輸出促進にもつながっています。
また、ハワイアンカルチャーを活かした工芸品や音楽、フラ文化なども観光と直結した産業として発展しています。
国際交流と多文化社会の維持
ハワイはアジアとアメリカ本土の中間に位置することから、観光を通じて国際交流が活発に行われています。
観光客を受け入れることで、州内の多様な文化背景を持つ住民の雇用が確保され、移民社会としての安定にも寄与しています。
さらに、国際会議やスポーツイベントも盛んに開催され、観光インフラがその受け皿となっています。
自然保護との相乗効果
観光客にとって最大の魅力であるビーチや山々を守るため、観光収益が環境保全に活用されている点も重要です。
例えば、観光税や宿泊税の一部がサンゴ礁保護や国立公園の維持費に充てられる仕組みがあり、観光が自然資源の持続的利用につながっています。
まとめ:京都とハワイ、観光の姿は同じではない
京都とハワイ。人口規模がほぼ同じにもかかわらず、観光の姿はまったく異なっていました。
ハワイは長期滞在・高単価型で、人数は京都より少ないものの「滞在日数×消費額」が大きく、自然環境やインフラへの負荷が課題となっています。
京都は短期・日帰り型が多く、とにかく「数の多さ」が特徴。市民生活と観光が同じ空間に重なり合うことで、混雑やバスの満員といった課題を抱えています。また日帰り客が多いので、人数の割に経済効果は限定的。
観光によるメリットもまた、性格が異なります。
それぞれ、魅力ある観光地なので、京都は市民との衝突を…ハワイは自然環境の悪化を回避できる策を見いだせるといいなぁと両方とも大好きな観光客として願っております!応援してます!
投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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