遺族年金、改悪だ!!

と、SNSでは猛ブーイングを受けながらも年金制度改正法案が成立しました。
このページでは、遺族年金がどう変わったのか、どんな人に影響を受けるのかを、SNSの疑問などを聞きながらお答えしたいと思います!

そもそも、なんで年金制度改正したの?

年金がさらに受け取れなくなる!

年金制度は昭和臭漂う制度だ…ということはご存知でしょうか?

典型的な「昭和モデル」で作られた年金制度

日本の年金制度の骨格は、

夫:正社員で終身雇用
妻:専業主婦(無収入)
家族:一馬力で扶養

という前提で設計されています。その名残が、今も色濃く残っているのが👇

  • 第3号被保険者制度
  • 加給年金(配偶者加算)
  • 遺族年金の考え方

どれも「守る対象は無収入の妻」という思想がベースです。

第三号被保険者制度

年金保険料を一切払っていない配偶者でも、老後は基礎年金満額近く受け取れます!

加給年金(配偶者加算)

年上夫と年下無収入妻という夫婦のために、年金に家族手当のようなものがつきます。

遺族年金

妻が亡くなった場合 は、夫は原則もらいにくいけれど、夫が亡くなった場合、妻はもらいやすい。
という性差があります。

在職老齢年金

65歳過ぎて、年金受け取りながら働きすぎると、年金が減らされます!

これらの「典型的昭和スタイル」をいつまで続けるの?今は共働きが多いし、老後も働く人多いから変更しようぜ!というのが、2025年の年金制度改正法案の内容です。

遺族年金とは?

年金なんて、払ってても早く死んじゃったら払い損じゃない!!

という声をSNSで見ることがありますが、ご安心ください!私たちが払っている「年金」は「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」という形で受け取ることになります。老後の生活費のための「老齢年金」、自分が亡くなったときに遺族の生活のために支払われる「遺族年金」、障害を負ってしまって就業できないときに「障害年金」の3種類があります。

そのため、厚生年金や国民年金に加入している人がお亡くなりになった場合、要件を満たすと「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」を遺族は受け取れることになります。

遺族年金の改正ポイント

遺族年金の男女差を解消!

厚生労働省 年金制度改正法が成立しましたより引用

今までは、妻が30歳以上で、夫が死別した場合、遺族厚生年金が無期給付されていましたが、妻を亡くした55歳以下の夫に支給される遺族厚生年金はありません。

筆者、女性ですが、自分に今、もしもの事があって天に召されることがあった場合、今まで払ってきた厚生年金が、夫や子供の今後、私がいない寂しさを埋めるためにも生活の糧にもならず、年金制度として消えて行ってしまうのか!!
と思うと、死んでも死にきれません!!!

今は女性もいっぱい働くし、夫婦合算で子供の教育費とかを考えているご夫婦も多いと思いますが、これでは女性の払った厚生年金があんまりではないですか!!

そんなわけで、男女差を無くなり、2028年4月以降、女性にもしものことがあっても、厚生年金は5年間の有機給付になります。(配慮が必要な場合は継続) 

所得制限撤廃!

これまで、遺族年金を受け取れる遺族には「850万円未満」という所得制限がありました。
これが撤廃です!

有期給付加算は?

今までは、遺族厚生年金の金額は「死亡した人の厚生年金の3/4」でした。
これが改正によって「死亡した人の厚生年金の4/4」になります。この増えた1/4が、有期給付加算と呼ばれます。

継続給付は?

就労収入が年間132万円以下ならば、遺族厚生年金は全額支給されます。
それを超えると、徐々に遺族厚生年金の額が減っていきます。

遺族基礎年金の子の加算も増額

現在も遺族基礎年金については、子供の人数によって、加算がされます

一人目、二人目は234,800円、三人目以降は78,300円が
一人目から一律で281,700円になります。

中高齢寡婦加算も段階的廃止

今回の年金制度改正法は「男女差」を無くすのも目的の一つでした。
それに伴い、「中高齢寡婦加算」も25年をかけて段階的に廃止することになります。

中高齢寡婦加算とは?

寡婦とは、夫と死別した女性を差します。

中高齢寡婦加算とは、40歳から65歳までの期間、18歳以下の子供がいない寡婦の場合、遺族年金満額の3/4に加え、年間58万円程度加算されて受け取れる制度です。

遺族基礎年金をい受給している場合は支給されません。(子供がいる場合は遺族基礎年金が受け取れます)

短期的には増額されるけど、結局どうなるの?

皆さん気になるのは「で、結局どうなるの?」ということかと思います。

簡単にいえば、「短期間的には支給額が増えるけれど、今まで永続的に貰えてた人たちからすると減額する」となります。
ただ、今までは昭和的な家族構成や働き方で「女性は働いていない」が前提でした。

働いている女性にとっては問題はないでしょうが、子育てや介護などの家庭事情を一人で抱え込んでいる女性に対しては大変むごい変更ではないか?と懸念しております。

今は女性でも働く時代デショ!働かないなんて甘え!

という声は、一見大変ご立派だと思いますが、介護や子育て…特に癖が強い方の介護や子育てを外注できる社会でしょうか?本当に問題なく働ける社会ですか?女性ご本人も、介護や子育てより、社会に出たいという願望があっても、家族の事情ですべて請け負っている女性だってこの日本にはいっぱいいますよ!!

特に、障害児福祉なんて特にそうですよね。
先日も、母親が痰吸引を必要とする子供を置いて外出して死亡させてしまう事件がありましたが、行政は何をしていたのでしょうか?父親は子供への虐待で刑務所の中、頼れる存在は行政だったのではないでしょうか?

もともと健常で生まれてきた人だって、ある日、障がい者になることだってあるんですよ?(そのための障害年金)
どこか障害や介護についてどこか他人事でいること自体が行政や社会を昭和で留まらせている原因なのではないでしょうか?

年金制度を変えることが問題なのではなく、社会が昭和のまま止まっている、行政が昭和のまま止まっているのが問題だと思っています!

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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