8月になり、弊社は毎日のように税務調査官がやってきます。
お客様がとっても増えたのもあって、弊社は個室を準備し、そちらで税務調査を行っておりますので、社内であってもどんな方が税務調査を受けているのか…は実は知りません(お客様のプライバシー保護のため)
ですが、国税庁は毎年、どんな職業の人に税務調査に入ってどのくらい所得の申告漏れがあって、いくら追徴課税したか…を公開しています。
それで、我々税理士事務所ウェブチームも「おぅおぅ…今は税務調査はこの業種に力入れてるなぁ」と分かるのです。
第1章:税務調査の基本
「税務調査」と聞くと、「会社にしか来ないでしょ?」「うちは個人だし関係ない」と思っていませんか?
実はここ数年、副業やフリーランス、ブリーダー、コンサル業など個人事業主にも調査が増えているのです。
税務署が調査対象を選ぶのには、しっかりとした根拠があります。まずは、税務調査の基本と、どういう仕組みで選ばれているのかを見ていきましょう。
1.1 税務調査には「任意」と「強制」がある
税務調査には大きく分けて2種類あります。
種類 | 内容 | 裁判所の令状が必要か | 代表的な例 |
---|---|---|---|
任意調査 | 通常の税務調査。税務署から事前通知あり。納税者の協力が前提。 | 不要 | 法人・個人事業主に対する定期調査 |
強制調査(査察) | いわゆる「マルサ」。悪質な脱税が疑われる場合。家宅捜索あり。 | 必要 | 脱税事件、仮装隠ぺい、大口現金隠しなど |
このコラムで取り上げるのは、通常の「任意調査」です。
事前に「調査のお知らせ」が送られ、日程調整のうえで税務署職員が訪問します。

なーんだ!!任意なら断ればいいじゃない!!
と思っても、ダメダメ!!任意とは名ばかりで、調査に協力する義務があるので、お断りは出来ません。
ただ、「任意」というのは日程については任意…という意味です。
強制捜査というのはドラマなどで見る税務調査だとイメージして下さい。
1.2 税務署が「調査に行く先」をどう選んでいるか?
税務署は全国のすべての事業者を調査できるわけではありません。
では、どうやって「この人を調べよう」と決めているのでしょうか?
実は、税務署内では次のような選定基準をもとに「調査先リスト」が作られています。
調査対象として選ばれやすいパターン
- 申告書の内容が不自然
- 粗利が業界平均と比べて異常に低い
- 経費が前年の倍になっている など
- AIを導入しており、この辺の数値についてはバレやすい。
- 生活水準と申告所得がかけ離れている
- 申告は年収300万円なのに高級外車や海外旅行が多い
- 車はディーラーからの支払調書、不動産は不動産登記情報からバレます
- 過去に無申告・修正申告歴がある
- 再調査リスクが高い
- 現金商売で“ごまかしやすい”業種
- 飲食・エステ・建設・クラブなど
- 外部情報(マイナンバー・SNS・振込記録)から怪しい動きがある
- たとえば、SNSで「月収100万コンサルしてます」と言ってるのに、確定申告は年収ゼロ…など
- 売上が急に上がった!
売上が急に上がると、税金が高くなるの恐れて、売上をごまかす企業が多いため
1.3 一般人でも他人事ではない時代
昔は「税務調査=会社に来るもの」というイメージでしたが、
今は副業サラリーマン・ネット販売・個人ブリーダー・フリーランスなど、普通の人にも調査が来る時代です。
特に、以下に当てはまる方は要注意です:
- 副業をしている(インフルエンサー、せどり、コンサルなど)
- 売上の一部が現金や個人名義で入ってくる
- 帳簿がざっくり or 付けていない
- 家族名義のクレジットカードや通帳を使っている
税務調査は「運」ではない。「選ばれる」には理由がある
税務調査はランダムに来るものではありません。
ダーツが刺さった会社に行くとか、あみだくじで決めたり、そういうことはせず、数値的に粗(あら)があり
申告内容や生活実態、業種特性などから「調べたら証拠取れそう」と思われたときに来るのです。
次章では、そんな“選ばれがちな業種”をランキング形式でご紹介します。
第2章:税務署が“入りたがる”業種トップ10
第1位:経営コンサルタント(副業含む)
ここ数年、税務署が特に注目しているのが「経営コンサルタント」と名乗る個人事業主です。副業でコンサル業をしている会社員や、起業支援・集客支援をオンラインで行っている人も対象になります。
なぜ狙われるのかというと、まず売上の実態がつかみにくい点があります。契約書がない、請求書も整っていない、取引の内容がメールや口頭だけといったケースが多く、「この売上は本当に対価なのか?」と疑われやすいのです。
また、経費の多さも特徴です。書籍やセミナー代、交際費、Zoom用のマイクやPC、自宅家賃や水道光熱費まで幅広く経費計上されがちで、家事按分の基準が不明瞭なまま全額落としていることも少なくありません。
こうした問題が積み重なると、帳簿の信頼性が低いと判断され、最悪の場合は「そもそもこれは事業ではない」として雑所得扱いになってしまうケースもあります。青色申告特典の否認、経費の大幅否認、そして重加算税が課されることもあり、数十万円から100万円を超える追徴課税となる例が多発しています。
筆者自身、個人事業主になろうと知人経営者に相談したら「経営コンサルタントにしたほうがいいよ!経費にできるものが桁違いに多いから!」と言われたことがあります。経営者界隈ではそういう風に言われているのかもしれません。
第2位:ブリーダー(犬・猫・小動物など)
「たまに繁殖して譲っているだけ」と本人が思っていても、継続的に動物を繁殖・販売していれば、それは立派な事業です。税務署は、血統証の発行履歴や動物病院でのワクチン接種記録、さらにはSNSでの投稿から販売実態を把握しています。
ブリーダーが狙われやすい理由は、「趣味」と「事業」の境目が曖昧な点にあります。自宅でペットを育てているだけであっても、定期的に生まれた動物を高額で譲渡していれば、それは課税対象。しかも、無申告で何年も続けている人が多く、調査が入ると一気に5年分遡って追徴課税されるケースも珍しくありません。
また、餌代や病院代、トイレ用品などの経費をすべて事業経費として落としている場合、家事按分を求められ一部否認されることもあります。SNSやブログなどに力を入れている人ほど、むしろ「証拠」がしっかり残っているため、税務署にとっては調査しやすい業種でもあります。
第3位:飲食業(特に個人店)
飲食業は昔から税務調査の常連です。その理由は何といっても「現金取引の多さ」にあります。レジの打ち方次第で売上を減らすこともできてしまうため、税務署としても「ごまかしが効きやすい」と見なしています。
特に個人経営の店舗や、夫婦・家族でやっているお店は、帳簿の管理がずさんになりがちです。食材の仕入れと売上のバランスが合っていない、日計表と預金の入金額が違う、といった典型的なパターンは、調査官にとって“美味しい”発見ポイントです。
調査が入ると、食材の仕入れ量から逆算して「本来これだけの売上があったはず」と推定されることがあります。さらに、親族に支払っていた給与が実は形式的なものであった場合、これも否認対象になります。
税務署は、繁盛している店、目立つ店舗、SNSで賑わっている店などを日常的にウォッチしており、周囲の店舗との比較から「数字が合わないな」と感じると調査の候補に挙がります。
焼き鳥、焼き肉など色んな美味しそうなお店が毎年ランクインします。
第4位:美容業(エステ・ネイル・サロンなど)
個人で経営するエステサロンやネイルサロン、美容室も、税務調査の対象として非常に多い業種です。とくに、完全予約制・現金払いが中心である店舗は、売上の計上漏れが疑われやすくなります。
指名料やオプションメニュー、化粧品やヘアケア商品の物販など、本業とは別に現金が発生する場面が多く、帳簿に計上されていないことも珍しくありません。また、家賃や電気代、美容機器などの設備投資がすべて経費として処理されている場合でも、プライベート利用が混在していれば按分が必要です。
調査に入ると、予約台帳や施術記録、LINE予約の履歴まで見られることがあります。売上が過小に計上されていたり、実際の稼働数と帳簿が食い違っていたりすれば、そのギャップを根拠に過去数年分の修正申告を求められることになります。
第5位:建設業・個人職人(塗装・リフォームなど)
建設業や個人で請け負う職人(塗装・内装・大工・リフォームなど)も、現金取引や外注費の不透明さから、税務署が注目する業種です。
一番のポイントは期ズレによる売上の計上漏れ。
売上を過少申告してしまうと重加算税にもされがちで、ペナルティとしてかなり重いです。
また多いのが外注費や材料費の計上が不明瞭なケースです。たとえば、実在しない外注先に架空で支払いをしたように見せかけたり、親族や知人への謝礼を外注費として処理している例もあります。領収書が手書き、または証拠が残っていない取引も多く、調査官にとっては「成果が出しやすい業種」と言えるでしょう。
調査が入ると、取引先や元請け、下請けなどにも税務調査が波及することがあり、芋づる式に税務調査になることがあります。
第6位:不動産賃貸業(個人・副業オーナー含む)
不動産賃貸業は、一見すると安定的な業種に見えますが、税務処理の細かさや特殊性から、意外にも税務調査が多い分野です。特に個人オーナーや副業でワンルームマンションを何室か所有している人などが狙われやすい傾向にあります。
よくある問題は、「修繕費」と「資本的支出」の区別です。たとえば、外壁を塗り替えた場合、それを修繕費として一括で経費にしていると、調査で「これは資本的支出です」と判断され、減価償却でしか経費にできないと指摘されることがあります。
また、自宅兼賃貸や、家族への低額貸し付け、敷金や礼金の処理ミスなども定番のチェックポイントです。さらには、ローン金利・管理費・仲介手数料など、実際に支出していても全額を経費にできない場合があり、その判断が甘いと後で否認されるリスクが高まります。
調査官は、家賃の入金状況や契約書、修繕履歴などから、申告内容と実態に差がないかを確認します。副業オーナーで「税金はあまり気にしていなかった」という人が対象になることも多く、知らないうちに何年分もさかのぼって修正申告を求められることになります。
第7位:夜のお店(バー・スナック・クラブなど)
バーやスナック、ラウンジ、クラブ、キャバクラ、ホストといったいわゆる“夜の業種”は、現金商売の典型例として、税務署の監視対象になりやすい業種です。日々の売上がすべて現金で行われることも多く、伝票やレジの記録が整っていない場合は、「売上を抜いているのではないか」と疑われます。
キャバクラやホストはお店側はもちろんですが、働いている人も税務調査の対象になりやすいです。
そもそも確定申告をしていない、売上の申告を少なくするなどでやはりチェックされやすい傾向があります。
バーやスナックのための他の業種よりも疑いの目が厳しめです。お店での支出とプライベートな支出の境界も曖昧になりやすく、同伴での飲食費やプレゼント購入などがすべて経費にされていると、それが業務に関係するかどうか厳しく見られます。税務署は、こうした業種については「裏帳簿の存在」を前提に調査に入るケースもあります。
調査が入ると、従業員の出勤記録や給与台帳、在庫のお酒の本数まで細かくチェックされます。仮に裏帳簿が見つかれば重加算税(最大40%)が課される可能性があり、同業他社にも波及することがあります。とくに、繁盛している店、SNSで目立っている店ほど、「あの店、本当にあの売上で済んでるの?」と、税務署が注視しているのが実情です。
第8位:医業・自由診療(美容皮膚科・審美歯科など)
病院やクリニックと聞くと、まじめに申告していそうなイメージを持たれるかもしれません。ところが実際には、美容皮膚科・自由診療専門クリニック・審美歯科など、「保険外」の自費診療が中心の医業は、売上の管理が事業者側に委ねられているため、税務署としても注目せざるを得ない分野です。
特に現金払いが多い業種では、クレジットカード売上はしっかり申告していても、現金売上の一部が抜けている、ということが少なくありません。また、スタッフにインセンティブを支払っている場合でも、適正に帳簿化されていなければ「給与として処理されていない」と判断され、源泉徴収の漏れを指摘されることもあります。
調査に入ると、カルテと売上の整合性、使用した美容機器の稼働回数、商品販売の在庫記録などもチェックされます。「税理士に任せているから大丈夫」と思っていても、院長の判断で帳簿に載せていない現金売上がある場合、それが発覚すれば、税理士がいても関係なく重加算税が課されることになります。
最新の令和5年の税務調査では、内科医もかなり調査に入っています。
第9位:ネット副業(アフィリエイト・せどり・配信者など)
ネット副業は、年々税務署が力を入れている分野です。特にアフィリエイト、せどり、YouTubeやライブ配信などをしている人の中には、「申告しなくてもバレない」と思い込んでいるケースが多く、無申告のまま何年も続けてしまっている人も見受けられます。
しかし現実には、GoogleやAmazonといった企業からの入金履歴は、税務署も確認できる情報のひとつです。たとえば、海外からの報酬が口座に定期的に振り込まれていたり、フリマアプリでの売上が継続的だったりすれば、それは“事業”として認定される可能性があります。
調査では、銀行口座の入金履歴はもちろん、取引明細・販売履歴・広告収益の画面キャプチャまで求められることがあります。無申告だった場合には、5年分遡って修正申告を求められ、加えて無申告加算税が課されます。さらに、青色申告特典の適用も受けられず、税負担が一気に重くなるケースが少なくありません。
第10位:副業サラリーマン(確定申告していない人)
副業をしているサラリーマンの中にも、「年20万円以下だから申告不要でしょ」と思っている人は多いですが、それはあくまで所得税だけの話です。住民税の申告義務は別に存在しており、「20万円以下でも住民税の申告が必要なケース」は珍しくありません。
副業がバレるきっかけとして最も多いのは、住民税の徴収方法です。本業の給与以外の収入に対しても住民税が特別徴収(給与天引き)されてしまい、会社の経理に副業がバレる、という流れが定番です。これが税務署にも情報共有され、「あれ、この人、申告してないのでは?」とチェックが入ります。
また、最近ではSNSやブログで「副業で月収50万!」と発信しているケースも多く、発信内容と申告内容が合わない場合、それが税務調査のきっかけになることもあります。税務署は、会社員でも継続的に収入があれば、事業所得・雑所得として課税対象とみなして調査に入ってきます。
バレないための住民税のワザ
第3章:これ、うちも該当してるかも…と思ったら
ここまでのランキングを見て、「ちょっと自分も当てはまるかも…」と感じた方も多いのではないでしょうか?
税務署に目をつけられるかどうかは、“運”ではなく“傾向”と“準備の有無”で決まります。
この章では、自分でできる簡単なチェックポイントと、今からできる対策を紹介します。
セルフチェック!あなたの申告大丈夫?
以下の項目に、1つでも心当たりがある方は要注意です。
- 売上の内訳や根拠を明確に説明できない
- 自宅家賃・水道光熱費・スマホ代を全額経費にしている
- 現金で受け取った収入を記帳していないことがある
- 契約書や請求書をきちんと残していない
- SNSやブログで「稼いでます」とアピールしているが、申告は控えめ
- 帳簿がExcelや手書き、または付けていない
- 仕事に関係ない領収書も経費にしてる
- 過去に無申告・修正申告の経験がある
- 「副業だから」「少額だから」と申告していない収入がある
1つや2つなら問題ないケースもありますが、複数あてはまる場合は“調査対象予備軍”として意識したほうがいいかもしれません。
第4章:税務署に選ばれないための対策
税務調査は、「たまたま選ばれる」ものではありません。
過去の申告内容や外部からの情報、数字の不自然さなどから、「これは見に行ってみよう」と判断されて選ばれます。
つまり逆にいえば、普段から“選ばれにくい状態”をつくっておけば、調査リスクを大きく下げることができるということです。
ここでは、税務署に目をつけられないために、今からできる対策を紹介します。
1.帳簿を正しく、丁寧に記録する
税務署は、「帳簿がちゃんとしている人は誠実」と見なします。
一方で、帳簿がぐちゃぐちゃだったり、入力ミスや記載漏れが多い人は、「申告内容も信用できないのでは」と疑われます。
特に、以下のような点は注意が必要です:
- 現金の入出金が合っていない
- 売上の記帳日と実際の入金日がズレている
- 日付・取引先・内容・金額のいずれかが抜けている
クラウド会計ソフトを使えば、銀行やクレカと連携して仕訳を自動化できますし、ミスや漏れも減らせます。
帳簿は“税務署とのコミュニケーションツール”と考えて、日々しっかりと整備しておくことが肝心です。
2.経費は「直接性・必要性・客観性・収益性」
何でもかんでも領収書をもらって経費にしていませんか?
大事なのは、「この支出が事業に必要だった」と、第三者に説明できるかどうかです。
たとえば、以下のような支出は調査でよく問題になります:
- 家族との外食を「接待交際費」にしている
- 自宅の家賃や電気代を全額経費にしている
- 旅行代やガソリン代を「出張費」としているが、業務との関連が不明
経費として認められるためには、支出の目的・内容・頻度・金額の妥当性を説明できることが大切です。
特に家事按分(プライベートと業務の混在)の処理は、必ず「基準」を持っておきましょう。
3.売上には必ず「裏付け」を残す
「売上はあるけど、契約書はない」「請求書も出してない」「口頭でやり取りしただけ」
こういう場合、税務署から「本当にその仕事をしたのか?」と問われる可能性があります。
少額な取引でも、次のような記録を残しておくと安心です:
- 契約書・注文書・請求書
- メールやチャットのやり取り
- 振込明細や入金履歴
- 納品物のサンプルや納品日報
最近はPDFでやり取りする人も増えていますが、それでも「何月に誰に、何を、いくらで売ったか」が分かる記録は残しておきましょう。
4.SNSやネットの発信にも注意する
意外と多いのが、SNSやブログでの発信内容が原因で税務署に目をつけられるパターンです。
たとえば:
- 「副業で月100万稼いでます!」と発信しているのに、申告では年収200万
- 海外旅行や高級ホテルの写真を頻繁にアップしているのに、所得が少なすぎる
- 商品やサービスをネットで販売しているのに、売上ゼロで申告している
税務署は、こうした情報を“チェックしている”と公言しています。
SNSは「自分で自分を告発している」ようなものなので、発信する内容と申告の整合性にも気を配りましょう。
5.過去の申告ミスを放置しない
「去年ちょっと申告を間違えたかも」「経費にしちゃったけど怪しいな…」という場合は、
放置せず、自主的に修正申告や税理士への相談を検討しましょう。
税務署に先に指摘されると、加算税が上乗せされることがありますが、
自主的に修正すれば、加算税を免除または軽減してもらえることもあります。
第5章:調査に来たらどうする?
どんなに気をつけていても、税務署から突然「調査のお知らせ」が届くことがあります。
そんなときに慌てないためにも、税務調査の流れと対応のポイントを知っておきましょう。
税務調査はどれほど短くても2日間は朝から晩までかかります。
その間、本業の手が止まってしまうので、税務調査が多い夏場に繁忙期を迎える場合は税理士を立てて、社長は途中退席を許してもらうとかのほうがいいかもしれません。
●まずは落ち着いて、通知内容を確認する
税務調査は、いきなり当日押しかけてくるようなものではありません(マルサを除けば)。
多くの場合、事前に電話や文書で通知があり、
- 調査日(通常1〜2日)
- 対象期間(たとえば直近3年間)
- 対象税目(所得税・消費税など)
- 調査に持参する書類(帳簿・領収書・請求書・契約書など)
といった内容が伝えられます。
この段階で税理士に相談すれば、調査日までに必要な準備を整えることができます。
慌てて「何とかしよう」としないことが肝心です。
どうしても心配だ!という場合は、税務調査の立会をしてくれる税理士に依頼しましょう。
相場はザックリ20~30万円という印象です。
●調査官は“敵”ではない。誠実な対応を
税務調査というと、取り調べのような厳しいイメージを持つかもしれませんが、
実際の調査官は、公平な立場で事実確認をするだけです。
そのため、変にごまかそうとしたり、隠そうとしたりする方が逆効果です。
対応で最も大事なのは、次の3つです:
- ウソをつかない
- 分からないことは素直に「分からない」と言う
- 後日対応でもよいので、根拠資料を提出できるようにする
- 無申告なら、税務調査の前に申告書を出す!(その方が加算税が少なくて済む)
調査官は、1つ1つの資料を見て「この人は信用できるか」を判断します。
丁寧で誠実な姿勢は、調査の印象を大きく左右します。
●帳簿にミスがあっても「即アウト」ではない
実は、調査で何か間違いが見つかったからといって、即追徴課税になるとは限りません。
大切なのは、「ミスを認めて修正する意志があるかどうか」です。
たとえば、
- 経費の一部が按分されていなかった
- 売上の記帳日がズレていた
- 領収書の保存が不十分だった
といったケースでも、誠実に対応し、必要に応じて修正申告しましょう!
逆に、
- 領収書を偽造した
- 意図的に売上を除外していた
- 嘘をついて隠した
と判断された場合は、重加算税(35〜40%)という“ペナルティ税”が課されます。
調査官は「ミス」か「ごまかし」かを見極めようとしています。
●税理士を通じた対応が心強い
税務調査に慣れていない方にとっては、調査官とのやり取りも緊張するものです。
そのため、税理士を通じて対応することは非常に有効です。
税理士が立ち会うことで、
- 不要な発言を防ぐ
- 事実関係の整理や交渉を代行してくれる
- 記録の整備・申告書の内容を説明してくれる
といった形で、調査がスムーズになります。
また、税理士が過去の処理内容に関与していた場合でも、調査官と建設的にやり取りを進めることができます。
なお、弊社の場合、税務調査後の顧問契約が必須になるので、顧問は要らないけど、税務調査だけ立ち会ってほしい!という場合は他の税理士さん一択です!
一度、税務調査が入って、税理士がついてない…となると、再び税務調査が入る可能性は高いので、税理士つけない場合は、初回に注意されたポイントはかなり用心をしたほうがいいです。
●調査後
調査が終わると、調査官が「指摘事項」を整理し、納税者と最終的な内容を確認します。
問題がなければ「是認通知(問題なし)」となり、指摘があれば「修正申告または更正通知」が届きます。
指摘内容に納得できない場合は、異議申立てや不服申立てをすることも可能ですが、
その前に税理士と相談し、対応方針を整理することが大切です。
税務調査は日々の会計業務から!
税務調査は毎日コツコツと正しい会計業務を行っていれば全く怖くありません。
残念ながら、売上絶好調に伸びまくりの企業も税務調査に入ることはありますし、弊社でもそのようなお客様の税務調査の立会もしておりますが、堂々の【是認(間違いなし!正しい申告ができてます!の意味)】を受けています。
会計業務は売上には直結しない業務ではありますが、会社の信頼には直結する業務です。
ぜひ、日々コツコツとナイスな会計業務をお過ごしください!!
投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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