毎年やってくる「年末調整」。
正直、「去年と同じでいいや」と思っている人も多いのではないでしょうか?

ところが今年(令和7年・2025年)は、基礎控除や配偶者控除などが大幅に見直され
「去年と同じ」では通用しなくなっています。
実際、記入ミスや申告漏れが多発する可能性がある年なのです。

今回は、給与所得者(従業員)の方も、経理・人事担当者の方も知っておきたい、
年末調整の記入で気をつけたい5つのポイントをわかりやすく解説します。

1. 「基礎控除」の額が変わった!最新版の書類を使おう

今年から、所得税の基礎控除額が48万円 → 最大95万円に変更されました。
しかも、「一律」ではなく、所得金額によって段階的に変わる点がポイントです。

合計所得金額控除額
132万円以下95万円
132万円超~239万円以下85万円
239万円超~340万円以下75万円
340万円超65万円

昨年の申告書を参考にすると誤記のもと。
国税庁や会社から配布された最新版の様式を使って記入しましょう。

2. 配偶者控除・扶養控除の「所得金額」を正確に!

「うちは妻がパートだから、103万円以内なら大丈夫でしょ?」
――そう思っていませんか?

今年は、給与所得控除の下限額が55万円から65万円に引き上げられたため、
実質的に年収123万円あたりまでが控除対象となるケースもあります。

つまり、「103万円の壁」が「123万円の壁」へ。
去年の基準で判断すると、控除を受け損ねる恐れがあります。

よくある誤記正しい考え方
「年収120万円だから対象外」改正後は控除対象の可能性あり
「学生の子どもは所得ゼロ」アルバイト収入があれば所得あり。要記入

3. 大学生のお子さんがいる人注意!
新設の「特定親族特別控除」を見落とさない!

今年から新しく登場したのが「特定親族特別控除」。
19歳以上23歳未満(主に大学生)の子どもなどを扶養している場合、
一定の所得条件を満たせば追加の控除が受けられます。

従来の「扶養控除」と別枠扱いのため、
新しい申告書の該当欄を見逃さないよう注意が必要です。
大学生の子どもがアルバイトをしている家庭では特に確認しましょう。

大事なのは、大学生のお子さんが12月末までにどのくらいバイトに入って、いくら稼ぐ予定なのか…をちゃんと聞く!ということです。もしもズレていたらどうなるのかは別のコラムでお伝えします。

4. マイナンバーの記入は1箇所だけ?様式統合に注意

2025年は申告書の様式が統合され、
マイナンバーの記入欄が1箇所だけになっているケースがあります。

「どこに書けばいいの?」と迷って空欄のまま出してしまう人も多いので、
会社の指示に従い、正しい位置に1回だけ記入するようにしましょう。

5. 保険料控除証明書の添付忘れに注意!

生命保険や地震保険の控除証明書は、スマホ画像やPDFでも提出可能になっていますが、
契約番号の欠落や画質不良で無効になるケースも見られます。

電子提出する場合は、

  • 保険会社発行の正式データを添付する
  • 複数契約をまとめて提出する際は、全契約の番号が確認できるかチェック
    を忘れずに行いましょう。

会社・経理担当者はここに注意!

  • 旧様式の使用はNG:必ず国税庁の最新版を配布
  • 給与ソフトを更新:「特定親族特別控除」が自動反映されるか確認
  • 提出期限は早めに:再提出や確認が増えるため、11月中旬目安
  • 電子提出形式(XML/PDF)の確認:ソフトによって異なるため要チェック

まとめ:今年は「去年と同じ」では通用しない!

2025年の年末調整は、

  • 基礎控除の拡大と段階制
  • 給与所得控除の変更
  • 特定親族特別控除の新設

この3つが大きなポイントです。

「去年と同じで大丈夫」ではなく、
今年のルールに合わせて確認する」ことがミスを防ぐ一番のコツです。

家族構成や収入が少し変わっただけでも控除額は変わります。
早めに準備して、安心して年末を迎えましょう。

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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