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SNSなどで「独身税」と呼ばれているのは、2026年度(令和8年度)から始まる 「子ども・子育て支援金制度」 のことを指すのが一般的です。通称で独身税と呼ばれていますが、これは“税”ではなく、医療保険料と一緒に徴収される「支援金」 という位置づけです。

【独身税】子育て支援金の特徴

  • 独身だけが払う制度ではない(医療保険加入者に広く負担がかかり、企業負担もある)
  • 目的は、こども未来戦略「加速化プラン」で新設・拡充する子育て支援策の財源に充てること

「独身税」という呼び方が生まれるのは、“子育てに直接関わらない人にも負担が発生する” という見え方になりやすいから、という整理です。ただし、子育てしている人も払っている点、社会保険料であることからこの名称は誤解を招くなぁと感じております。

気になる負担額(どう決まり、どれくらい増える?)

会社員など(被用者保険)の計算

こども家庭庁は、令和8年度について 支援金率 0.23% を示しています。支援金額(月額)は 標準報酬月額 × 支援金率 が基本で、原則として半分は企業負担です。

令和8年度の子育て支援金の負担額

年収月額(本人概算)令和8年4〜12月(9か月合計)
100万円96円864円
200万円192円1,728円
300万円288円2,592円
400万円383円3,447円
500万円479円4,311円
600万円575円5,175円
700万円671円6,039円
800万円767円6,903円
900万円863円7,767円
1000万円958円8,622円
1100万円1,054円9,486円
1200万円1,150円10,350円
1300万円1,246円11,214円
1400万円1,342円12,078円
1500万円1,438円12,942円
1600万円1,533円13,797円
1700万円1,629円14,661円
1800万円1,725円15,525円
1900万円1,821円16,389円
2000万円1,917円17,253円
令和8年4月~12月までの負担額

これは本人負担額であって、会社も同額の負担をしております。

え?高いですか?
こんなの全然序の口。令和10年になるともっと負担額が増えます。

令和10年はもっと高くなる

年収令和9年度(年額)令和10年度(年額:資料の例を年額化)
200万円(資料に年収別の明示なし)4,200円
400万円(資料に年収別の明示なし)7,800円
600万円(資料に年収別の明示なし)12,000円
800万円(資料に年収別の明示なし)16,200円
1,000万円(資料に年収別の明示なし)19,800円
令和10年の独身税・子育て負担金の本人負担額

何に使われるのか(子ども・子育て支援金の使途)

こども家庭庁によると、「こども一人当たり平均で約146万円(高校生年代までの合計)の給付拡充」とあります。

子ども・子育て支援金は、医療保険料とあわせて徴収されますが、使い道は法律で「子育て支援関係の給付・事業」に限定され、いわゆる「何にでも使える財源」ではないです。
厚労省資料では、支援金(支援納付金)の対象費用として、次の項目が示されています。

1) 児童手当の拡充

支援金の充当先の中心が児童手当です。制度改正後は、支給対象が「0歳〜高校生年代まで」と変更になります。

従来子育て支援金でこう変わる!
3歳未満15,000円/人15,000円/人
ただし、3人目から30,000円/人
3歳以上10,000円/人
中学卒業まで
10,000円/人
高校卒業まで。
ただし、3人目から30,000円/人
その他所得制限あった所得制限をなくした

もともと、「控除から手当へ」といううたい文句の元、扶養控除を無くして給付が決まったのにもかかわらず、高所得者のこどもに所得制限をしていたのは、子供が最低限生きるのに必要なお金にさえ課税をしているということ。

2020年に児童手当0円になってしまった世帯がいるのですが、そのタイミングで少子化が加速しているのも無関係ではないのではないでしょうか?国が子供からお金を取り上げた事実は結構重いと思います。

2) 妊婦のための支援給付(妊娠・出産期の給付)

妊婦への経済的支援として、リーフレットでは 「妊婦給付認定後に5万円」+「妊娠しているこどもの人数の届出後に(人数×5万円)」 が示されています(1人妊娠なら合計10万円相当)。

3) 共働き・共育てを支える雇用保険の給付(出生後休業/育児時短)

  • 出生後休業支援給付(「育児休業給付 手取り10割相当」との整理)
    産後の奥さんを支えるパパの育休です。
    14日以上育児休業を取得した場合に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金とあわせて「出生時休業支援給付金」を最大28日間支給されます。
  • 育児時短就業給付(時短勤務中の賃金の10%支給)
    2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に要件を満たすと支給されます。

4) こども誰でも通園制度(乳児等支援給付)

就労要件の有無にかかわらず利用できる仕組みとして進められているのが「こども誰でも通園制度」です。

対象年齢(例:生後6か月〜満3歳未満)や、「月10時間」等の利用枠、そして 「保育所等を利用していないこども」 を主な対象としている趣旨が示されています。
(ここが、すでに0歳から保育園等を利用している家庭だと“利用機会が少ない”と感じやすいポイントになります)

5) 国民年金(第1号被保険者)の育児期間の保険料免除

自営業・フリーランス等を含む国民年金第1号被保険者について、育児期間中の保険料免除措置が対象費用として整理されています(施行時期も資料上で示されています)。

6) (補足)特例公債の償還金等

支援金制度の立ち上げ期の財源として「子ども・子育て支援特例公債」に触れられており、対象費用にはその償還金等も含まれる、とされています。

「子ども1人あたり146万円」はどういう意味?

こども家庭庁・厚労省の資料では、支援金制度による給付拡充を 「こども一人当たり平均で約146万円(高校生年代までの合計)」と示しています。
ただし同じ資料内で、これは 各給付の事業費を“対象となるこどもの数”で割って合計した平均であり、世帯の状況により実際の給付状況は様々と説明されています。
つまり、「どの家庭も一律146万円もらえる」という意味ではなく、制度ごとの利用・該当の有無で“受け取りの実感”は変わります。

【ざっくり概算】共働きの場合(月給30万円の場合)

  • 高校生の児童手当の拡充 36万円
  • 妊婦のための支援給付 10万円
  • 出生後休業支援給付金 最大支給3万6400円(月給によって変動)
  • 育児時短就業給付金 30万円→20万円…支給額2万円/月
              30万円→28万円…支給額1.8万円/月

36万円+10万円+3.6万円+(2万円×6か月から2歳になるまでの1.5年分)=85.6万円

146万円の根拠はやっぱりよくわからない・・・

子育て支援金の問題点は?

子育て支援金は、子育てしている人も、していない人も、これからする予定の人も、もう終わった人も含めて、みんなで子育てを応援しましょう!というものです。

子ども一人育てるのにかかる費用は約2000万円。
昭和までは「妻子がいて、子供2人以上育てて一人前!」みたいな風潮があったので、当たり前のように結婚・出産・子育てをしてきましたが、今は女性も当たり前のように仕事をし、「妻子あって一人前」の風潮は全くなく、国民負担率は25%から45%になり、その負担の多くは家庭が背負っている今、どのように子育てを応援するか…というのは社会全体が考えないといけない問題です。

  • 日本国民だけで子供を増やす or 移民を受け入れる
  • 経済規模を維持する or 縮小を受け入れる

など、対になるものを並べたときに、どうするべきか、それを選んだ際のリスクは何か?そのリスクまで受け入れられるのか?までを考えないといけないかと思います。

子育て支援金というものだけを見つめるのではなく、少子化問題や今後の日本の在り方までを問う壮大な課題です。

そのうえで、子育て支援金や、社会の一員として子育ての環境をどう作っていくべきか…を考えて頂けたら嬉しいです。

徴収が“社会保険料と一体”なので、負担感が強く見える

支援金は、医療保険の枠組みで 保険料等とあわせて徴収されます。
税と違って「名称」「使途」「自分の対価」が見えにくく、家計側は“手取りが減る”として体感しやすい。これが「独身税っぽい」「実質増税では?」という反応につながりやすいポイントです。

児童手当の拡充は「第3子以降」に厚い一方、1〜2人世帯は“増えた実感”が出にくい局面がある

制度上は、高校生年代まで支給対象が広がり、第3子以降は3万円と明確に増えています。
一方で、子どもが1〜2人の家庭は、子の年齢構成や従来の所得制限の該当有無によっては「増えたのは高校生分だけ」「そもそも今は増えていない」と受け止めやすい。ここが「負担は増えるのに、うちは増えない」という不満につながります。

子育て世帯中央値の800万円程度の世帯で、子供ひとりではむしろマイナス

子育て支援金を生涯払う金額は子育て世帯の中央値付近の800万円で累計すると、45年間働き続けるとしたとき145万円の負担額になります。(会社負担分も含みます。)

一方で、子供一人しかいない世帯では、ざっくり概算では86万円程度しか給付はありません。2人以上ではないと子育て世帯であってもマイナスになってしまいます。

厚生労働省は「実質負担ゼロ」と言っているが、そもそも社会保険料がどんどん上がってる

こども家庭庁資料では、歳出改革等による社会保険負担軽減と相殺し、支援金導入に伴う実質的な負担が生じないという説明が置かれています。

しかし、社会保障と保険料はどんどん増えていく一方で、消費税のように連日テレビや新聞、お茶の間で話題に上がることなく保険料は変更されています。社会保険料に含めるから実質負担ゼロ!と言われても、その社会保険料の負担が、会社負担分を含めて30%もあるんです。存在そのものが1か月の出費の中で一番大きい人もいるのではないでしょうか?

まとめ

財務省の推計では、国民負担率(租税負担+社会保障負担)は令和6年度(実績見込み)45.8%、令和7年度(見通し)46.2%とされており、すでに“重い負担感”があるのは事実です。
この状況で社会保険料に上乗せされる仕組みが導入されれば、独身の方や子育てを終えた方から「子育て世帯の施策なら、子育て世帯が負担すべきでは?」という感情が出るのも無理はありません。

ただ、ここで一度立ち止まって考えるべきなのは、“子育て費用を子育て世帯だけで背負う”構造が長く続いた結果、子育てそのものが「負担の大きい選択」になり、少子化が進んだという点です。子どもが減れば、将来の担い手が減ります。そうなると、年金や医療・介護の支え手は細り、道路・水道などのインフラ維持も、今の形のままでは難しくなっていきます。つまり、子育て支援は「特定の世帯のため」だけでなく、社会の持続可能性に直結するテーマでもあります。

だからこそ、次に問うべきは「支援が必要かどうか」ではなく、少子化を食い止めて“子どもが増える社会”にするには、どんな打ち手が最も効果的で、公平感があるのかです。財源の取り方も、社会保険料に上乗せする方式がよいのか、一般財源(税)で透明性を高めるのか、あるいは教育国債のような別の選択肢も含めて、冷静に比較しながら議論していく必要があるでしょう。

持続可能な日本を、一緒に考えるきっかけになれば幸いです。

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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