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AIがどんどん賢くなって、「もう税理士に頼まなくても申告できるんじゃない?」と感じる方が増えてきました。

実際、クラウド会計とAIを組み合わせれば、仕訳の自動化や試算表の作成、申告書の“形”を作るところまでは、かなりの精度でできる時代です。中には「AIに総勘定元帳を入れて申告書を作らせたら、税理士と数万円しか違わなかった」という声もあります。

では本当に、税理士は不要になるのでしょうか。

結論から言うと、「税理士が全部不要」になるケースは限られます。
理由はシンプルで、AIが得意なのは“作る・集計する”作業であり、税理士の本質は“判断する・守る”仕事にあるからです。たとえば交際費や外注費、旅費、役員報酬など、税務上の線引きが必要な場面では、「計算が合っている」だけでは安心できません。税務調査で説明できる証拠や社内の運用まで含めて、はじめて安全な処理になります。

この記事では、①AIで十分に対応できる領域、②税理士が必要になりやすい領域、③これからの賢い使い分け方を、経営者・個人事業主の目線で整理します。「税理士が必要かどうか」で悩む方が、自分に合った最適なスタイルを選べるように、できるだけ具体的に解説していきます。

まず結論:税理士は「全部不要」にはなりにくい

AIの進化で、税務の世界も確実に変わりました。帳簿作成から申告書の作成まで、以前は専門家が時間をかけていた作業の多くを、いまはAIとクラウド会計がかなりの精度でこなします。だから「税理士はもういらないのでは?」という感覚が広がるのも自然な流れです。

ただ、ここで押さえておきたいのは、AIが置き換えやすいのは“作業”であって、“責任を伴う判断”ではないという点です。申告書は作れても、その申告が「税務調査で説明できる処理になっているか」「否認されない証拠や運用になっているか」までは、会社ごとの事情を踏まえて設計する必要があります。ここが、税理士が今も求められる大きな理由です。

AIが得意なのは「作成・集計」、税理士が強いのは「判断・責任」

AIが得意なのは、ルールに従って高速に処理することです。取引データを読み込んで仕訳を推測し、試算表や総勘定元帳をまとめ、申告書の数字を整える。こうした“作成・集計”の領域は、今後さらに効率化が進むでしょう。

一方で税務の現場には、ルールだけでは割り切れない場面が必ず出てきます。たとえば交際費と会議費の区分、外注費と給与の判断、旅費規程の運用、役員報酬の設計などは、「形式」ではなく「実態」や「証拠」「運用」が問われる分野です。AIは一般論は言えても、あなたの会社の実態を踏まえて「このやり方なら調査でも耐える」「ここは危ないから直すべき」という線引きをして、責任を持って伴走するのは苦手です。

税理士の役割は、数字を“作る”こと以上に、税務上のリスクを見える化し、事故が起きないように事前に手当てすることにあります。言い換えると、税理士は「計算の人」ではなく「判断と責任の人」です。

税理士の価値は“申告書作成”ではなく「税務リスク管理」に移っている

昔は「決算・申告書を作る」が税理士の中心業務に見えがちでした。しかしAIが普及した今、価値の中心は明確に変わりつつあります。今、税理士が提供する価値は、次のような税務リスク管理に集約されます。

  • 税務調査で見られやすい論点(交際費、外注費、役員関連、棚卸、消費税など)の事前点検
  • 規程・証憑・契約・社内運用まで含めた「否認されにくい仕組み」づくり
  • 節税を“知識”で終わらせず、実務として成立させる設計(ルール化、証拠化、継続運用)
  • 資金繰りや融資、投資判断まで含めた、数字の意思決定支援

AIは「いくら税金が出るか」は計算できます。(正しいかは別)
でも経営者が本当に困るのは、税額そのものよりも、「その処理、後でひっくり返されないか」「先にやるべき手当ては何か」「来期の意思決定をどうするか」といった部分です。ここに寄り添い、会社の状況に合わせて設計し、必要なら調査の場でも説明する。これが、AI時代でも税理士が残る最大の理由です。

AIで十分になりやすい仕事(税理士が“作業屋”なら置き換わる)

AIが急速に実務へ入り込んだことで、税理士業務の中でも「ここはAIで十分だよね」と言われやすい領域がはっきりしてきました。共通点はシンプルで、ルール化できる・入力が揃っている・例外が少ない仕事です。逆に言えば、税理士の仕事を「作業(作るだけ)」に限定してしまうと、置き換えが進むのは自然な流れです。

仕訳の自動化(連携・推測・ルール化)

いま最もAIの恩恵を受けているのが、仕訳の領域です。銀行口座やクレジットカード、請求書発行サービス、POSなどと連携すれば、取引データが自動で取り込まれ、AIが勘定科目を推測して仕訳候補を出してくれます。さらに「この取引はいつもこの科目」「この摘要ならこの税区分」といったルールを登録しておけば、同じパターンの処理はどんどん自動化されます。

ここで重要なのは、“同じ取引が繰り返される会社ほどラクになる”という点です。例えば、家賃・通信費・サブスク・広告費など定型の支出が多い会社は、AIに学習させやすく、入力の手間はかなり減ります。税理士に依頼していたとしても、実務の現場ではすでに「人がゼロから仕訳を作る」よりも、「AIが出した候補を確認する」方向に移っています。

試算表・総勘定元帳・決算書の作成

仕訳が積み上がれば、試算表や総勘定元帳、推移表といった帳票類は自動で整います。ここはAIというより、クラウド会計の得意分野ですが、AIが仕訳入力を助けることで、結果的に帳票作成がさらに簡単になります。

また、決算書(貸借対照表・損益計算書など)も、基本は帳簿の集計結果です。入力が整っていれば、決算書の“形”はすぐに出ます。だからこそ、「税理士=決算書を作る人」というイメージだけだと、AI時代は価値が伝わりにくくなります。
(※もちろん、減価償却や棚卸、引当金、税区分などの論点が絡むと話は変わりますが、それは次章で触れます。)

申告書の“作成”自体は入力が整えば可能

「申告書を作る」という行為そのものも、入力が揃っていればAIやソフトがかなりのところまでやれます。法人税・消費税・所得税いずれも、基本は帳簿と決算数値をもとに、所定の様式へ落とし込む作業です。会計データから自動連動して、申告書を生成できる仕組みも広がっています。

ただし、ここで注意したいのは、申告書は“作れた”だけでは不十分で、「前提となる処理が妥当か」「別表や添付の整合性が取れているか」が重要だということです。とはいえ「作成」それ自体は、AIの進化で確実に簡単になりました。だから「税理士に頼まなくても提出できそう」と感じる人が増えるのは当然です。

定型質問(交際費の範囲、必要経費など)の一次回答

税務の質問には、調べれば答えが出る「定型質問」も多くあります。例えば、

  • 交際費と会議費の違いは?
  • これは経費になる?ならない?
  • 消費税は課税?非課税?
  • 何年保存が必要?

こうした“ルールの説明”や“条文・通達の一般的な解釈”の一次回答は、AIがかなり得意です。特に、社内で経理担当が「まずAIであたりをつける」運用にするだけでも、税理士への問い合わせ回数が減り、顧問料の価値が「質問対応」から別の領域へ移っていくのは自然です。

税理士が必要になりやすい仕事(AIが苦手な領域)

AIは「入力された情報をルール通りに処理する」のが得意です。一方で税務の現場では、そもそも入力の前提が正しいかその処理が調査で耐えるか証拠と運用が揃っているかが問われます。ここに入ると、AIだけで完結させるのは難しくなります。税理士が必要になりやすいのは、まさにこの領域です。

グレーの線引き:「税務調査で耐える処理」になっているか

税務で怖いのは「計算ミス」より、線引きのミス(=否認)です。しかも線引きは、会計ソフト上の科目名ではなく、実態・目的・証拠で判断されます。

代表的な“グレーになりやすい論点”はこのあたりです。

  • 交際費:誰と・何の目的で・会社の事業とどう関係するか
  • 外注費:実態が給与(雇用)ではないか、源泉や社保の論点がないか
  • 福利厚生費:全員一律か、特定の人だけ得していないか
  • 旅費交通費:出張の事実、規程、日当、宿泊費、同行者、私用混在
  • 役員関連:役員報酬、社宅、役員借入金・貸付金、私的支出の混入

AIは「こういう場合は交際費です」と一般論は言えます。でも実務で必要なのは、
“うちの会社のこのケースは、税務調査でどう見られるか”という視点です。

税理士が行うのは、単なる科目の選択ではなく、

  • 第三者でも納得がいくか、説明が通るか。
  • 書類や証拠が揃っているか(領収書だけで足りるか、ほかにも証拠が必要か等)
  • 継続性があるか(毎年ブレていないか)
  • そもそも運用を変えるべきか

といった“会社の信頼を守れるか”を中心に考えています。

節税は“制度”ではなく“運用設計”

節税は、制度を知っただけでは成立しません。
実際に税務で揉めるのは、「制度の使い方」ではなく、運用が雑で否認されるケースです。

たとえば「出張旅費規程で日当を出す」「社宅を使う」「福利厚生を整える」といった話は、制度としてはよく知られています。ところが、

  • 規程がない/あっても形だけ
  • 証憑が残っていない(出張記録、稟議、報告書など)
  • 支払手順がバラバラ(現金精算の管理が甘い)
  • 特定の人だけ有利(役員だけ、家族だけ)
  • 実態とルールがズレている(ルールはあるのに守っていない)

こうなると、節税どころか“税務調査で爆発する時限爆弾”になります。

税理士が価値を出すのは、節税策を並べることではなく、
その会社の実態に合わせて「規程・証拠・手順」をセットで整え、継続運用できる形にすることです。
ここがAIが最も苦手な部分です(会社ごとに事情が違い、書類や運用の設計が必要だから)。

昨今の税務調査では、この杜撰な管理の結果を根拠に、税務調査の結果を

“数字”を経営判断に変換(資金繰り・融資・投資時期)

AIは「税額」を計算できます。でも経営で本当に大事なのは、税額そのものよりも、キャッシュと意思決定です。

たとえば、同じ利益が出るとしても、

  • 役員報酬をどう設計するか(税・社保・会社の資金繰り)
  • 設備投資を今期に入れるか、来期に回すか
  • 借入を増やすか、返済を優先するか
  • 消費税の納税資金をどう確保するか
  • 決算前に打てる手

こうした判断は、「税金が減るか」だけで決めると失敗します。
金融機関の見え方、資金繰り、翌期以降の成長投資、社保負担、社内体制まで含めて最適化が必要です。

税理士は、試算表の数字を“結果”で終わらせず、
「今、何を選ぶと会社が強くなるか」に翻訳します。
この“翻訳”は、テンプレ回答ではなく、会社の状況と優先順位で変わります。

税務調査時の対応

最後に、お客様が申告以外で期待されることが多いのが税務調査です。
税務調査で指摘されても、AIは同席も交渉もできません。

税務調査では、

  • あらかじめ指摘されるポイントを把握し、対策を立てておく
  • 税務調査の流れを把握し、話さない方がいいことを知っておく
  • 追加で要求された資料への対応
  • 見解の相違がある場合の主張と落とし所
  • 修正申告にするか、更正を争うか

といった、判断と対話の連続になります。ここは経験がものを言います。

まとめ

最近では、クラウド会計freeeでchatGPT向けアプリもリリースされました。
chatGPT上で、「@freee確定申告」と入力した後に確定申告に関する質問を投げかけるだけで、蓄積された専門家の回答から適切な回答をピックアップして表示します。

税理士側も、AIを駆使している人も増えています。

今後、AIが発達するかと思います。税理士の仕事もどんどん変わっていくかと思いますので、我々税理士事務所としても、お客様のニーズをしっかり把握して、サポートさせていただきます。

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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免責事項

本コラムは、税金に関する一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な状況に対する助言(税務申告・節税判断・手続きの代行等)を行うものではありません。
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