
外国人で一族全員を扶養にいれて日本には1円も税金を納めてない外国人がいるって聞いたんだけど!
そんなのずるい!許せない!!
というお声を聞きました。
残念ながら、文化の違いと言いますか
「ワタシノムラハ、ゼンインワタシノカゾクヨ!」
と言って、何十人もの扶養家族がいるから所得税も住民税も非課税!となった外国人が過去にはいた…という事実はあるそうですが、実は2023年にその辺は厳格化されました。
3行でわかる!「外国人の扶養ルール」
- 30歳〜69歳の家族は原則として扶養控除NG
- 親族である証明書を出さないといけない。日本語訳必須
- 38万円以上の送金がないと扶養控除はできない
2023年の国外居住親族の扶養控除と、外国人本人の課税区分をまとめて解説
外国人労働者が増える中で、2023年以降、国外居住親族(海外に住む家族)を扶養に入れるための条件が大きく見直されました。
さらに、外国人ご本人が「居住者」なのか「非居住者」なのかによって、そもそもの源泉徴収方法がまったく異なります。
外国人社員がいる企業や、人事・経理担当者にとって、いずれも押さえておきたい重要ポイントです。
1.まず押さえるべきは「国外居住親族の扶養控除の改正(2023年〜)」
■ 30歳〜69歳の家族は原則として扶養控除NGに
2023年分の所得税(令和5年分)から、国外居住親族の扶養控除には年齢要件が導入されました。
ポイントは下記のとおりです。
| 年齢(12/31現在) | 扶養控除の基本取扱い(国外居住親族) |
|---|---|
| 〜15歳 | 年少扶養控除の廃止により控除不可 |
| 16〜29歳 | 扶養控除OK(従来どおり) |
| 30〜69歳 | 原則 扶養控除NG |
| 70歳以上 | 扶養控除OK(老人扶養親族) |
特に、外国人労働者が本国のご両親(50〜60代が多い)へ仕送りしている場合、
2022年までは控除OKだったのに、2023年以降は控除不可になってしまうケースが急増しています。
■ ただし、30〜69歳でも認められる「3つの例外」
30〜69歳の国外居住親族でも、次のいずれかに該当すれば扶養控除の対象になります。
- 留学により国外に住んでいる場合
- 障害者である場合
- 年間38万円以上の送金を受けている場合(生活費・教育費としての仕送り)
とりわけ「38万円以上の仕送り」は実務で多いケースです。
逆に言えば、年間38万円未満の仕送りしかしていないと、扶養控除が使えなくなる可能性が高いということです。
■ 必要書類も厳格化(親族関係+送金関係)
国外居住親族を扶養に入れる場合は、以下の書類が必要です。
① 親族関係書類
・出生証明書
・家族証明書(Family Certificate)
・住民登録証など
※外国語書類は日本語訳必須
② 送金関係書類
・銀行の海外送金控え
・クレジットカード使用明細
・電子送金(電子ウォレット等)の明細も2023年より対象に
③(例外該当時)追加書類
・留学ビザ、在学証明書
・障害者証明書
・年間38万円送金が確認できる書類 など
書類が揃わないと控除が認められないため、企業側でも早めの案内が重要です。
2.忘れてはいけない:外国人本人の課税区分(これが根本ルール)
国外居住親族の扶養控除を語る前提として、
そもそも 「その外国人本人は居住者か?非居住者か?」 の判定が必要です。
結論をシンプルに言うと次の通りです。
■ ① 継続して1年以上日本に住んで働く外国人
→ 日本人と同じ扱い(居住者)
・源泉徴収税額表を使う
・年末調整を行う
・各種所得控除(扶養控除など)も適用される
つまり、通常の会社員と全く同じ手続きです。
例:技能実習生、技術者、留学生→就職した人、高度人材など
多くの外国人労働者はこの①に該当します。
■ ② 上記以外(短期滞在・1年未満の契約など)
→ 非居住者として扱われる(源泉20.42%)
非居住者は、
・給与支払額の 20.42%を源泉徴収して終了
・年末調整はしない
・各種所得控除も使えない(扶養控除も対象外)
給与計算としては非常にシンプルですが、
「居住者」「非居住者」の判定を誤ると税務調査で指摘されやすい部分です。
3.外国人社員がいる企業が注意すべきポイント
● 扶養控除の可否は「年齢」と「送金額」が重要
本国のご家族を扶養に入れていた方は、2023年で控除不可になったケースが多いため、
年末調整前に必ず「年齢・送金額・必要書類」を確認しましょう。
● 本人が「居住者」か「非居住者」かで手続きが根本から違う
特に短期契約の外国人アルバイト・研修生などは、
実は非居住者扱いなのに、日本人と同じ年末調整をしてしまっているケースがあります。
これは税務調査で是正対象となる典型例です。
● 電子送金(アプリ送金)が書類として使えるようになった
従来より実務が多少ラクになりました。
銀行送金以外を使っている外国人労働者も多く、2023年改正の重要ポイントです。
4.まとめ
外国人労働者に関する税務は、
「本人の課税区分(居住者/非居住者)」と「国外居住親族の扶養控除」
という2つのルールを整理するとわかりやすくなります。
- 1年以上日本に住む外国人 → 日本人同様、年末調整あり
- 1年未満などの短期滞在者 → 20.42%源泉で終了
- 国外居住親族の扶養控除 → 30〜69歳は原則不可、例外3つのみ
- 仕送り額が38万円以上かどうかが実務ポイント
- 必要書類は親族関係+送金関係。電子送金の明細も可
外国人労働者が増えている今、企業側の正確な理解と案内が求められています。
投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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