前回、ハワイと京都の比較を行ったところ、京都とハワイでは環境的な違いが大きいなぁと感じまして、今度はもっと観光タイプが近い「古都同士」で比較したら、面白い発見ないかな?と思って調べてみました!
どちらも渋滞がひどいとか、共通点も見えてきました!
宿泊税(観光税)とは?
- 宿泊者に課される地方税
ホテルや旅館、民泊などで1泊するごとに、宿泊料金とは別に徴収される税金。 - 観光立国に共通する仕組み
世界の主要観光都市(パリ、ローマ、ニューヨーク、京都など)で導入。観光客が街のインフラを使う以上、地元住民の負担軽減や観光環境の整備のために必要とされます。
ローマの宿泊税(Tourist Tax)
- 開始:2011年に導入。
- 金額(2024年現在)
- ホテルランクに応じて €3〜€7/泊
- 最高額は高級ホテルで€7(約1,100円程度)
- 青少年や長期滞在者は免除
- 徴収方法
宿泊施設がチェックアウト時に直接徴収し、市へ納付。 - 使い道
- 遺跡の維持管理
- 観光インフラ整備(トイレ、道路、清掃)
- 文化財保護への補助金
- 背景
観光客が都市機能に与える負担(ゴミ処理、交通混雑、建造物の劣化)に対応するため。
→ 特に「ローマを歩けば遺跡に当たる」と言われるほど文化財が多いので、観光客が実質的に維持コストを負担する形。
京都市の宿泊税
- 開始:2018年10月から全国の政令指定都市として初導入。
- 金額
- 宿泊料2万円未満:200円
- 宿泊料2万円以上5万円未満:500円
- 宿泊料5万円以上:1,000円
- 2026年からは大幅値上げ!最大1万円にアップ!
- 徴収方法
宿泊施設が代行徴収し、市に納付。 - 使い道
- 観光案内所の多言語対応
- 無料Wi-Fiや観光マップ整備
- 観光地の混雑対策・分散施策
- マナー啓発(ポスター、キャンペーン)
- 背景
- 「観光公害」批判への対応。
- 清水寺・祇園などでの混雑やマナー違反で住民生活が圧迫されており、観光と生活の両立を目的に導入。
京都VSローマ 宿泊税はどっちが多い?
都市 | 最新の宿泊税収 | コメント |
---|---|---|
ローマ市 | 約 €165 million(2023年) ≈ 2,190億円 | イタリア全国で最大の税収。高級宿泊施設増に伴い急成長。 |
京都市 | 約 ¥5.2 billion(2023年度) ≈ 52億円 | 2026年以降、約126億円を見込む大幅増を計画中。 |
はい、ローマの圧勝!!街全体が世界遺産の市は世界が違う!!
ローマは街全体が博物館!そのため、観光にもかなり力を入れています。
イタリアの観光規制
イタリアは日本人に人気の旅行先ではありますが、まだ行ったことがない方も多いハズ。
なので、ちょっと筆者の見てきたローマやイタリアを語らせていただきます。
「ローマを歩けば遺跡に当たる」街
イタリアの首都ローマは、まさに街全体が遺跡の集合体。コロッセオ、フォロ・ロマーノ、バチカン…観光名所が日常生活と同居している不思議な都市です。
スマホが普及する前にイタリアに行ったのですが、地図を見ながらあっち?こっち?と言いながら迷子になったらなんだかすごい遺跡に遭遇…
あまりにすごいからこれはなんだ???と思ったら「フォロ・ロマーノ!」迷子になったら紀元前の遺跡に遭遇するなんて・・・
ローマの生活圏が遺跡過ぎる!とイタリア旅行で印象に残った出来事でした。
そのため観光税(宿泊税)は年間2,000億円規模。ローマ市の大事な財源となっており、文化財保護や清掃、観光インフラ整備に惜しみなく使われています。
ガイドは“国家資格”
ここでユニークなのが、観光ガイド制度。イタリアでは「公認ガイド(Guida Turistica)」の国家資格がないと、遺跡や美術館の中で説明してはいけません。
日本からツアーで行った方はご存知でしょう。日本人添乗員さんがバスの中で楽しく案内していても、コロッセオの門をくぐった瞬間、マイクを現地ガイドにバトンタッチ。まるでリレーのように役割が切り替わります。
「ここで解説しちゃダメ!」と警察に注意されることもあるとか。さすが“歴史の番人”は違います。
しかし相手はイタリア人。日本語で解説をしてくれることはなく、日本人添乗員が通訳してもアウト実際にはチケット購入とかだけをしておしまい…という、国家資格が泣くようなお仕事でした。一応、イタリア人公認ガイドのいうことを日本人添乗員が通訳する分は良いそうですがちょっと残念でした。
そんな公認ガイドですが、ローマの平均年収が約 €39,000/年(およそ600〜640万円)に対し、公認ガイドの平均年収は約 €20,000〜25,000/年(300〜400万円程度)にとどまっており、国家資格の割にはあまり稼げません。アメリカほどではないけれども欧州もチップ文化はあるので、チップ次第の部分もあります。そして、人気のガイドになると1時間で50~80€も稼ぐ猛者もいるそう。専属契約やリピーター客を持ってるガイドがいたり、SNSでバズったり口コミが良いと指名制で単価が上がる…という仕組みだそうです。
皆さんご存知の通り、日本では観光ガイドは国家資格ではありません。
ローマは渋滞さえ観光資源?
ローマの道路は、古代ローマ時代の都市計画をほぼそのまま踏襲しています。
つまり車社会になる前から存在している道を、現代の自動車や観光バス、無数のスクーターが共有しているのです。
拡張工事をしようにも「壁を壊したら遺跡が出てきた」なんて笑えない話もザラ。渋滞は都市の宿命といえるでしょう。
実際、先程も話しに出た「迷子で到着したフォロ・ロマーノ」は、19世紀に穴を掘ったら偶然出てきた遺跡とも言われています。
あの規模が埋まってるとか・・・すごすぎる・・・
しかし、日頃日本で生活をしている私にはその渋滞がイライラ。
イライラしてバスの窓を見てたら、すり抜けていくスクーターと車が接触事故!!とかも目の当たりにして衝撃。
更に数日間の旅行のうち、似たような接触事故を2回目撃した上、フィレンツェでは、後ろから自転車に衝突されるという事故にまであい、イタリア人の運転の雑さには驚きました。
交通データ会社の統計では、ローマ市民は年間140時間以上を渋滞で失っているそうです。
京都の紅葉シーズンの混雑も大変ですが、ローマは一年中この調子。まさに「渋滞の常設展示場」です。
イタリア人同士でもすごいのですが、そこに大型観光バスが遺跡周辺に殺到し、二重駐車が当たり前。観光客からすれば「え、これ合法なの?」と驚く場面に何度も出会います。
そこでローマ市はバスの進入を制限し、ゾーンごとに許可制を導入。文化財を守るだけでなく、街の呼吸も維持しようとしています。
とはいえ、イタリア人はポジティブ。
渋滞中にオペラを熱唱するタクシー運転手や、隣の車と窓越しに談笑するおじさんに遭遇するのも、ある意味ローマ観光の一部です。
「信号は目安、二重駐車は挨拶」なんて冗談もあるほど。イライラが笑いに変わるのがローマ流なのです。
京都の道路は碁盤目状でまだ整理されていますが、やはり観光シーズンは大混雑。
ただし「道そのものが遺跡」ではないので、拡張や交通規制の余地はあります。
ローマと比べると、京都の混雑はまだ“可愛い”のかもしれません。
まとめ!!
ローマと京都。どちらも「歩けば遺跡・寺社に当たる」世界的な観光都市ですが、観光をどう経済に組み込んでいるかには大きな違いが見えてきました。
ローマ
- 宿泊税だけで年間2,000億円超の財源を確保
- 公認ガイド制度で、観光客のお金を必ず地元の雇用につなげる
- 観光警察や罰金制度で文化財と景観を守る
- 渋滞すら“都市の宿命”として共存し、イタリア流に楽しんでしまう
京都
- 宿泊税は年間50億円規模と控えめ(ただし増税計画あり)
- ガイド制度は自由度が高く、雇用の地元固定化は弱め
- 観光マナー啓発や郊外誘導などでオーバーツーリズムと奮闘
- 渋滞はあるが、道路構造的にはまだ改善の余地あり
という違いが見えてきました。
ローマがすごいのは、「観光は自然に収益を生むのではなく、制度によって“循環”させるもの」という姿勢です。
一方の京都は、観光客数では勝っても、地元経済への定着や住民生活との調和に課題を残しています。
我らの京都も、ローマに負けない観光都市にしつつ、住民との調和も出来るように・・・願っております!
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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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