家づくりの計画を立てる際、多くの方が見落としがちなのが「固定資産税の軽減制度」です。
土地と建物に対して毎年かかる税金ですが、実は 住宅用に使うことで大幅に軽減される制度がいくつもあります。
この記事では、家を建てる前に知っておくことで“数年単位の節税効果”が期待できる3つの特例をわかりやすく解説します。
1.住宅用地の特例(固定資産税が最大1/6に下がる)【土地】
住宅が建つ土地には、固定資産税と都市計画税を軽減する「住宅用地の特例」が適用されます。
これは日本の固定資産税制度の中でも特にインパクトの大きい軽減で、知らないと損をする制度の代表格です。
●軽減される内容
土地の税額が次のように大幅に下がります。
- 200㎡までの部分(小規模住宅用地)
固定資産税:6分の1に軽減
都市計画税:3分の1に軽減 - 200㎡を超える部分(一般住宅用地)
固定資産税:3分の1に軽減
都市計画税:3分の2に軽減
例えば、一般的な戸建て住宅(敷地120㎡〜150㎡程度)であれば、ほとんどの部分が「小規模住宅用地」に該当し、実質的に土地の固定資産税は6分の1になります。
●注意点
- 家屋が建ってはじめて適用されます。
更地のままでは軽減されません。 - 取り壊した瞬間に軽減はストップします。
建替えの際は「更地期間」が長くならないよう注意が必要です。
新築スケジュールの調整で、1年分の税額が大きく変わることもあり、家づくりの初期段階から確認しておきたいポイントです。
2.新築住宅の固定資産税の減額(建物が一定期間1/2に)
新築した家屋そのものにも、固定資産税の軽減措置があります。
土地ではなく「建物の税金が減る」制度で、家を建てた後の数年間に大きな効果があります。
●軽減内容
- 一般的な新築住宅
→ 固定資産税が3年間「1/2」に軽減 - 3階建以上の耐火構造住宅(マンション等)
→ 5年間「1/2」に軽減
●対象となる住宅
- 床面積が 50㎡〜280㎡
- 賃貸住宅は 1戸あたり 40㎡〜280㎡
例えば、新築時の家屋の固定資産税が10万円だとすると、
最初の3年間は「5万円」で済む計算になります。
●実務上よくあるポイント
- 登記内容や床面積が要件を満たさないと軽減されません。
- 長期優良住宅の場合は、後述の特例でさらに期間が伸びます。
- 固定資産税は評価額が年々変わるため、減額期間中でも税額は一定ではありません。
3.認定長期優良住宅の特例(減額期間がさらに延長)
新築住宅の1/2減額は誰でも対象ですが、
長期優良住宅として認定を受けると、軽減期間がさらに長くなる特例があります。
●軽減期間の延長
- 一般住宅:3年 → 5年
- マンション等:5年 → 7年
長期優良住宅は耐震性・省エネ性・維持管理のしやすさなどが評価される住宅です。
税制だけでなく、住宅ローン控除や補助金の面でもメリットが多いため、
近年は認定を取得する方が増えてきています。
●家を建てる前に知っておきたいこと
- 認定は「着工前の申請」が原則です。
後から認定を取ることはできません。 - 建築会社が長期優良住宅に対応しているか確認しましょう。
- 認定にかかる申請費用がありますが、軽減額・補助金を総合するとプラスになるケースが多いです。
まとめ:家づくり前に知っておくことで“数十万円の差”に
家を建てるタイミングは、固定資産税を大きく左右します。
- 土地は 最大1/6 に軽減
- 建物は 3年〜7年の間、1/2軽減
- 長期優良住宅なら 軽減期間延長+補助金の可能性
これらの制度を知らずに家を建ててしまったり、建替えする際ものんびりしてしまうと、本来受けられる節税メリットを取り逃してしまう可能性があります。

せこい節税を考えるより、今ある優遇措置をしっかり理解して、活用することが大事です。
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投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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