「副業を始めたけど、確定申告って必要?」
「転職した年って、会社の年末調整だけで大丈夫?」
「ふるさと納税や医療費控除をしたいけど、会社員でも申告するの?」
このように、サラリーマンの方でも確定申告で迷う場面は意外と多くあります。
普段は会社が年末調整をしてくれるため、確定申告にあまりなじみがない方ほど、“どこからが申告必要なのか” がわかりにくいものです。
実際には、会社員の多くは確定申告をしなくてもよい一方で、一定の条件に当てはまる方は申告が必要です。
また、申告の義務まではなくても、申告をした方が税金が戻る(還付を受けられる) ケースもあります。
この記事では、サラリーマンで確定申告が必要になる代表的なケースを整理しながら、不要なケースとの違いもわかりやすく解説します。
まずは「自分がどちらに当てはまりそうか」を確認するところから始めていきましょう。
【先に結論】確定申告が必要な会社員はどんな人?
先に結論をいうと、サラリーマンでも「年収」「副業の所得」「2か所給与」「年末調整の状況」によって、確定申告が必要かどうかが決まります。
【結論】サラリーマンで確定申告が必要な人の一覧
サラリーマンの多くは、会社の年末調整で税金の手続きが完了するため、確定申告は不要です。
ただし、次のようなケースに当てはまる方は、確定申告が必要になる可能性があります。
- 給与収入(年収)が2,000万円を超える人
- 2か所以上から給与を受け取っている人(副業先がアルバイト等で給与扱いの場合を含む)
- 副業など、給与以外の所得がある人(一定額を超える場合)
- 年の途中で退職・転職し、年末調整が済んでいない人
- 譲渡所得(株式・不動産などの売却益)がある人→(注)
- 不動産収入・原稿料・講演料・暗号資産などの所得がある人
- 海外勤務・海外所得など、国内給与だけではない人
- 年末調整の対象外の収入がある人(内容によって判断が必要)
※贈与を受けた場合は、所得税の確定申告ではなく、贈与税の申告が必要になることがあります(別制度)。→(注)
(注)こんなケースは「所得税の確定申告」とは別の申告です
- 贈与を受けた → 贈与税の申告かも!
- 相続で財産を受け取った → 相続税の申告の検討(所得税とは別)
- 不動産を売却した → 所得税の確定申告(譲渡所得)を検討
贈与税はもらった翌年の2/1~3/15までに。
相続の場合(相続税)は、亡くなったのを知ってから10か月以内。
売却した場合(譲渡税)は翌年の2/16~3/15までに…と、どの税かによっても期限も方法も異なります!
年収2,000万円を超える人
サラリーマンで確定申告が必要になる代表的なケースのひとつが、その年の給与収入(年収)が2,000万円を超える人です。
「会社員なら会社が年末調整してくれるから大丈夫」と思われがちですが、給与収入が2,000万円を超える場合は、年末調整だけでは完結しません。
この場合は、サラリーマンであっても確定申告が必要になります。
こんな人が該当しやすいです
- 役員報酬を受けている会社役員の方
- 外資系企業などで給与水準が高い方
- 歩合・インセンティブが大きい営業職の方
- 年の途中で昇給・賞与が重なり、想定より年収が増えた方
「自分はそこまで高年収ではないと思っていたけれど、賞与を含めたら超えていた」というケースもあるため、毎月の手取り感覚ではなく、源泉徴収票の“支払金額”で確認するのが大切です。
「ほかの所得がなくても」確定申告が必要です
このケースでよくある勘違いが、
「副業していないなら申告はいらないのでは?」 というものです。
しかし、年収2,000万円超のケースは、副業の有無とは別に、それだけで確定申告が必要になる代表例です。
つまり、給与しかない方でも該当します。
1か所勤務でも、副業など給与以外の所得がある人(一定額を超える場合)
会社員の方が迷いやすいのが、副業をしている場合の確定申告です。
「本業は会社員で年末調整されているから大丈夫では?」と思いがちですが、
1か所から給与を受けている人でも、給与以外の所得が一定額を超えると、確定申告が必要になる場合があります。 国税庁でも、給与所得者の確定申告が必要なケースとして整理されています。
どんなものが「給与以外の所得」になりやすい?
サラリーマンの方でよくあるのは、次のようなものです。
- 業務委託の副業(ライティング、デザイン、動画編集など)
- 原稿料・講演料・出演料
- フリマ・ネット販売(内容によっては雑所得等)
- 不動産収入(家賃収入など)
- 暗号資産の売買による所得
- 株式等の譲渡益・配当(口座区分等により扱いが変わることあり)
- その他、継続的に得ている副収入
※ 何の所得に区分されるか(雑所得・事業所得・譲渡所得など)はケースによって異なりますが、
「給与以外の所得がある」という点は共通です。
目安の「20万円」の考え方
会社員の副業でよく出てくるのが、いわゆる 「20万円ルール」 です。
所得が20万円を超えたら、所得税の確定申告が必要です!ということですが、所得は
所得=収入(売上)-必要経費
を指します。
年末調整済みの給与所得者について、一定の場合には、給与以外の所得金額の合計が20万円以下なら所得税の確定申告が不要となる取扱いがあります。国税庁のタックスアンサー(No.1900、No.1906)でも、この考え方に触れられています。
ただし、ここは誤解されやすいので、次の点をセットで覚えておくのが大切です。
- 20万円の判定は「収入」ではなく「所得」
- すべての人に機械的に当てはまるわけではない(前提条件あり)
- 住民税の申告が別途必要になることがある(所得税と住民税は別)
住民税だけ申告ってどうやるの?
検索画面で、お住まいの市区町村名と「住民税のみ申告」と検索をするとPDFが出てくるので、それを市区町村の市県民税課に提出…という流れになります。
面倒な場合は所得税の申告をすれば住民税も自動的に申告できます。
2か所以上から給与をもらっている人(ダブルワーク・副業アルバイトなど)
サラリーマンで確定申告が必要になるケースとして、2か所以上から給与を受け取っている人もよくあります。
ここでいう「2か所以上から給与」とは、たとえば次のようなケースです。
- 平日は会社員、土日にアルバイトをしている
- 本業のほかに、別の勤務先で非常勤として働いている
- 複数の会社から給与を受け取っている(掛け持ち勤務)
このような場合、本業の会社で年末調整をしていても、それだけで終わらないことがあります。
国税庁のタックスアンサーでも、給与を2か所以上から受けている人は、一定の場合に確定申告が必要とされています。
タイミーなどの日雇いバイトは?
一定額を超えると、タイミーでも源泉徴収をされますが、源泉徴収されてても、されてなくても確定申告は必要です!
年の途中で退職・転職し、年末調整が済んでいない人
年の途中で退職・転職した方も、サラリーマンの確定申告で迷いやすい代表例です。
というのも、会社員の所得税は毎月の給与から概算で源泉徴収され、年末に年末調整で精算する仕組みだからです。
国税庁も、中途退職して年末調整を受けていない場合は、年末調整で精算されず、納め過ぎになることがあると案内しています。
「必ず申告義務」ではなく「還付される可能性アリ!」
この項目は、これまでの「年収2,000万円超」「2か所給与」などと少し性格が違います。
退職・転職で年末調整が済んでいない場合は、
“申告しないとダメ”というケースもありますが、実務上は“申告すると税金が戻る可能性が高い(還付)”ケースが多いです。既に税金を払いすぎている可能性があるので、確定申告をするとお金が戻ってくる可能性あります!
譲渡所得・不動産所得・海外所得など、給与以外の論点が複雑な人
サラリーマンの確定申告で、特に判断が難しくなりやすいのが、給与以外に“少し専門的な所得”があるケースです。
たとえば、次のようなものです。
- 株式の売却益・配当(譲渡所得等・配当所得)
- 不動産収入(家賃収入など)
- 不動産の売却益(譲渡所得)
- 海外勤務・海外所得・外国税額控除が関係するケース
これらは、同じ「副収入」でも、税金の計算方法や申告の要否が一律ではありません。
そのため、サラリーマンの方が「20万円ルールだけ」で判断すると、かえって混乱しやすい部分です。給与所得者の確定申告が必要な人の基本整理は国税庁No.1900で示されています。
それぞれ専門的に知るべき事項なので、このページで「えー!自分、確定申告必要なんだ!!」と新発見された方はもっと詳しく調べるのをお勧めします!
年末調整で控除の漏れ・誤りがあった人
(申告義務ではなく“還付申告”になりやすいケース)
サラリーマンの方の確定申告で意外と多いのが、
「本来は確定申告の義務まではないけれど、申告すると税金が戻る(還付される)ケース」 です。
その代表例が、年末調整で控除の漏れ・誤りがあった場合です。
たとえば、
- 医療費控除を受けたい
- ふるさと納税のワンストップ特例が使えなかった(または無効になった)
- 住宅ローン控除の初年度
- 保険料控除・扶養控除などを年末調整で出し忘れた
といったケースです。
この章は、これまでの「年収2,000万円超」「2か所給与」などの“申告義務が生じやすい話”とは少し違い、
“申告すると有利になる話(還付申告)” が中心になります。
まず大事なポイント|「必要な申告」と「した方が得な申告」は別
ここは読者が混乱しやすいので、先に整理しておくとわかりやすいです。
- 申告義務があるケース
→ 条件に当てはまると、原則として申告が必要 - 還付申告になりやすいケース
→ 申告すると払いすぎた税金が戻る可能性がある
年末調整で控除が漏れていた場合は、後者(還付申告)になることが多いです。
「会社員だからもう終わった」と思っていても、見直すと戻るケースがあります。
① 医療費控除を受けたい人
会社員の方でも、医療費控除は年末調整ではできません。
そのため、受けるには原則として確定申告が必要です。国税庁No.1120でも、医療費控除の要件や計算方法が示されています。
医療費控除の基本イメージは、ざっくりいうと次のとおりです。
- 自分や生計を一にする家族のために支払った医療費が対象
- その年に実際に支払った医療費が対象
- 保険金等で補てんされる金額は差し引く
- 一定額を超えた部分が控除対象になる
よくある勘違い
- 「家族分は合算できない」と思っている(→ 同じ家計の人なら合算OK!下宿中の学生や単身赴任の家族なども同じ財布で生活してればOK)
- 給付金を差し引かずに計算してしまう
② ふるさと納税でワンストップ特例が使ってない人・無効になった人
ふるさと納税は、要件を満たしてワンストップ特例を使えれば、原則として確定申告なしで控除を受けられる場合があります。国税庁の確定申告特集でも、「寄附先が5団体以内」かつ各自治体へ申請している場合は原則不要と案内されています。
ただし、次のような場合は注意です。
- 寄附先が6団体以上になった
- ワンストップ特例の申請をしていない/期限に間に合わなかった
- ほかの理由で確定申告をすることになった(副業・医療費控除・住宅ローン控除初年度など)
この場合、寄附金控除を受けるには確定申告で手続きする必要があります。国税庁のふるさと納税特集でも、ワンストップ特例が適用できない場合は確定申告が必要とされています。
間違えやすいポイント!
確定申告をするなら、ワンストップ特例をしたふるさと納税分も申告書に入れて処理する、という点です。
「ワンストップ出してるから書かなくていい」と思って寄附金控除を入れ忘れると、控除漏れになってしまい、せっかくしたふるさと納税ですが、税金が減りません!
医療費控除や住宅ローン控除を行う人で、ふるさと納税をワンストップ特例した人は確定申告でもふるさと納税を忘れずに!!
③ 住宅ローン控除の初年度の人
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、最初の年分は確定申告が必要です。2年目以降の場合、会社員なら年末調整で終わりますが、初年度だけは確定申告が必要です。
このため、住宅ローン控除初年度の方は、“住宅ローン控除だけ”ではなく、その年の控除全体をまとめて確認するのが大切です。
④ 保険料控除・扶養控除などを年末調整で出し忘れた人
会社員の方で実は多いのが、年末調整の書類提出時に起きる「うっかり漏れ」です。
たとえば、
- 生命保険料控除証明書を出し忘れた
- 地震保険料控除を入れ忘れた
- 扶養の情報が反映されていなかった
- 配偶者(特別)控除の判定を誤っていた
このような場合も、確定申告で修正・反映することで、税金が戻る可能性があります。
国税庁の「誤りの多い事例」でも、寄附金控除・地震保険料控除・寡婦/ひとり親控除・配偶者控除等の適用漏れ/適用誤りが挙げられています。
⑤ 配当控除を使いたい人(配当がある人)
上場株式などの配当を受け取っている方は、申告の仕方によっては配当控除を適用でき、税金が戻る(還付になる)ことがあります。
ただし、配当は「申告しない」という選択もできる場合があり、申告方法(総合課税など)によって有利不利が変わります。
「配当がある=必ず申告した方が得」とは限らないため、迷う場合は一度試算して判断すると安心です。
よくある質問
-
副業の「収入」が20万円以下なら、確定申告はしなくていいですか?
-
「収入」ではなく「所得」で見るのが基本です。
よくある誤解が、
「副業の売上(収入)が20万円以下なら申告不要」 という理解です。実際は、基本的に見るのは 所得(収入-必要経費) です。
また、いわゆる20万円の取扱いは、年末調整済みの給与所得者など、一定の前提があるため、誰にでもそのまま当てはまるわけではありません。
- 副業の所得が20万円以下なら、住民税も何もしなくていいですか?
-
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。
ここは本当によくある勘違いです。
「20万円以下だから完全に何もしなくていい」と思い込んでしまう方が少なくありません。しかし、所得税の確定申告の要否 と 住民税の申告の要否 は、同じとは限りません。
そのため、副業がある方は、お住まいの自治体の案内も確認しておくのが安心です。 (自治体ごとに案内ページがあります)
-
タイミーなどの日雇い・単発バイトを少しだけした場合も、申告が必要ですか?
-
場合によります。少額でも「絶対不要」とは言い切れません。
タイミーなどの単発バイトは、税務上、給与として扱われることがあります。
そのため、本業の会社とは別に給与を受けているなら、2か所給与の論点として確認が必要になる場合があります。また、必要な申告をしないまま放置すると、後から税額の不足分に加えて、延滞税や無申告加算税がかかる可能性もあります。
-
副業先で税金が引かれていた(源泉徴収されていた)なら、確定申告は不要ですか?
-
いいえ、源泉徴収されていても確定申告が必要な場合があります。
「税金が引かれている=手続き完了」と思いやすいのですが、これは別の話です。
特に、次のようなケースでは申告要否を確認した方がよいです。- 2か所以上から給与を受けている
- 副業が給与ではなく報酬(業務委託)
- 本業以外の所得がある
- 年末調整が不完全
源泉徴収はあくまで“途中での徴収”であり、最終的な精算は確定申告で行う場合があります。
まとめ
会社員で、確定申告が必要な人は案外多いものです。
確定申告と聞くと、難しくて専門知識が必要そうだ…と思うかと思いますが、意外とスマホとマイナンバーカード、それと必要書類があれば意外と簡単にできます。ソファーに寝ころびながらポチポチと入力すればいいだけ。医療費控除などだったら30分あればできます。
また、還付を受ける場合は、3/15までの確定申告期限に終わらせる必要はありません。
納税が必要なケースは3/15に申告する必要があります。
はじめての確定申告でも、頑張りましょう!
投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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