
確定申告、お疲れさまでした!
収入や経費をまとめて、申告書を作成し、税務署に提出。
これで一段落…と言いたいところですが、税金が発生している場合は「納税(支払い)」というステップが残っています。
実はここ、うっかり忘れてしまう方も少なくありません。
確定申告はあくまで「税金を計算して報告する」手続きであって、実際に税金を支払うのはまた別の話。つまり、「申告してホッとしたけど、支払いをしていなかった!」という事態にもなりがちです。
このページでは、確定申告後に発生した税金をどうやって払うかを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
- 納付書って何?届かないと払えないの?
- クレジットカードで払っていいの?
- スマホアプリでも支払えるって本当?
- ぶっちゃけ、どれが一番オトク??
…などなど、「どうやって払うの?」という不安を、この記事で解消しましょう!
主な納税方法 〜あなたに合った支払い方を選ぼう〜
確定申告で税金が発生したら、「いつまでに、どうやって払うか?」が次の課題です。
いまは昔と違って、自分に合った納税スタイルが選べる時代。銀行や税務署の窓口だけでなく、コンビニ・スマホ・ネットバンキング・クレジットカードなど、選択肢は多彩です。
この章では、代表的な納税方法と、+αの便利な口座振替について、税理士目線でメリット・注意点をしっかり解説します。
① 銀行や税務署の窓口で納付(現金納付)
特徴:
納付書を持参し、銀行や税務署の窓口で現金で支払う方法です。最も伝統的で、確実性の高い方法。
メリット:
- 確実性バツグン。その場で領収証書がもらえるので安心。
- 高額な納税でも問題なし。1,000万円超でも現金さえあればOK。
- 対面なので、操作ミスなどの心配がない。
注意点:
- 平日9時〜15時など、限られた時間内のみ。会社員にはハードルが高い。
- 納付書を紛失すると支払えない。
- 納付期限ギリギリは金融機関が混雑することも。
② コンビニ納付
特徴:
納付書にバーコードがあれば、全国のコンビニ(セブン、ローソン、ファミマなど)で支払い可能。
税務署で発行されたバーコードか、e-tax後にコンビニ納付を選ぶとQRコードのPDFを出せます。それを印刷してコンビニに持っていく…という流れです。
メリット:
- 24時間対応。仕事帰りや休日でも納税OK。
- 手数料なし。
- 領収証ももらえる。
注意点:
- 税額30万円までの制限あり。超えると使えない。
- バーコードが付いていない納付書では使えない。
- 有効期限を過ぎると支払いできない場合も。
③ クレジットカード納付(国税クレジットカードお支払サイト)
特徴:
国税庁指定のウェブサイトを使い、ネット上でクレカ払いができる方法。e-Taxからの連携も可能。
メリット:
- 24時間いつでも納付可能。ネット環境があればOK。
- クレジットカードのポイントが付く。
→ 実質“税金でポイント稼ぎ”が可能。ただし手数料注意 - コンビニよりも高額(最大1,000万円未満)まで納付可能。
注意点:
- 手数料がかかる。
納付金額1万円ごとに99円(税込)。たとえば…- 10,000円 → 99円
- 50,000円 → 495円
- 150,000円 → 1,485円
- カードの利用枠次第では支払えない場合も。
- 支払い後のキャンセル・変更不可。
- 領収証書は発行されない。利用明細・スクリーンショット保存を。
④ スマホアプリ納付(PayPay・楽天 Payなど)
特徴:
バーコード付き納付書をスマホで読み取り、対応アプリから即時支払いできる便利な方法です。
メリット:
- 超お手軽。スマホ一台で完結。現金もカードも不要。
- 24時間・365日対応。
- アプリの履歴で納付記録が確認できる。
- 決済手数料はかかりません
注意点:
- バーコード付きの納付書が必要。
- 限度額30万円
- アプリ残高のチャージが必要。クレカ直接払いは基本NG。
QRコード決済で税金を払ってもポイントはつかない。 - クレカ→アプリチャージのときに、ポイントが付く場合がある(オトク!!)
- 30万円を超える場合は、同じPAYで、2回に分けるとかも出来ます
- アプリごとに利用上限や利用可能時間が異なることがある。
【対応例(2025年7月現在)】
- PayPay
- d払い
- au PAY
- 楽天ペイ
- ファミペイ
⑤ ダイレクト納付
特徴:
e-Taxと連動して、登録済みの口座からその場で引き落とす納税方法。
メリット:
- 申告と同時に納税完了。郵送・窓口一切不要。
- 納付日を指定して予約納付も可能。
- 手数料無料で、ミスも少ない。
注意点:
- 初回のみ、事前準備が必要。
- 対応していない金融機関もあるので事前確認を。
- 残高不足だとエラー→未納扱いになり延滞税が発生する。
⑥ 振替納税
特徴:
申告時に「振替依頼書」を提出していれば、4月下旬ごろに税金が自動で引き落とされる便利な方法です。
メリット:
- 自分で納付しなくてよい。納税し忘れ防止に最適。
- 納付期限が少し延びる(例年:申告期限の約1カ月後)。
- 1回登録すれば、来年以降も同じ方法で継続可能。
注意点:
- 申告期限(3月15日)までに手続きしないと利用できない。
- 残高不足だと引落し失敗→延滞税+再納付の手間。
- 領収証書はもらえないため、通帳や明細を保存しておく必要あり。
⑦ インターネットバンキング納付(電子納税)
インターネットバンキング等からの納付手続とは、インターネットバンキングやATM等により国税を電子納付する手続です。
- 登録方式:事前に税目や金額など納付情報をe-Taxから送信 → インターネットバンキングで納付
- 入力方式:事前登録不要。税目を選んで納付番号を入力し、画面に従って支払う
メリット
- オンラインで完結:郵送や来店不要。
- 手数料無料(ただし銀行の利用料は要確認) 。
- 24時間対応(銀行による)。
注意点
- 事前準備が必要(納付番号取得やID・パスワード登録など)。
- 対応金融機関と利用時間に制限あり。
- 画面だけでの確認になるため、操作ミスに注意。
支払い期限に注意!〜遅れると延滞税がつく〜
確定申告を終えたあと、税金の納付が必要な場合には必ず支払い期限が設けられています。
この期限を守らないと、「延滞税」や「督促状」など、想定外のペナルティが発生することもあります。
ここでは、納付期限の基本ルールと、支払いが遅れた場合の影響について解説します。
原則:確定申告の納付期限=3月15日(※年度により前後)
「申告終わった~やれやれ…ひと休憩…」
としたくなるのですが、申告が終わったらそのまま納税までやってしまいましょう。
所得税・復興特別所得税の納付期限は、毎年3月15日(休日の場合は翌営業日)が原則です。
この日までに納税しないと、延滞税が発生する可能性があります。
例:令和6年分(2024年分)の申告の場合
→ 納付期限は令和7年3月17日(月)(15日が土日のため)
(こういう年は税理士たちは歓喜しています笑)
例外:口座振替(振替納税)の場合は約1か月後
振替納税を選んだ人は、申告時に口座振替依頼書を提出していれば、通常4月下旬ごろに自動引き落としされます。
📌 例:令和6年分の振替日(予定)
→ 令和7年4月23日(水)頃
このように、支払いのタイミングが通常よりも1か月ほど遅くなるため、資金繰りに余裕が生まれます。
ただし、口座残高が不足していると引き落としできず、延滞税対象になるので要注意です!
支払期限に遅れるとどうなる?
【1】延滞税が発生する
納付が遅れた場合、日数に応じて「延滞税」というペナルティが課されます。
金額の目安は以下のとおりです。
- 納付期限から2か月以内:原則 年利7.3%(※令和7年は「特例基準割合+1%」)
- 納付期限から2か月超:原則 年利14.6%(※特例基準割合+7.3%)
たとえば10万円の税金を2か月遅れて納めた場合:
→ 約2,500円〜3,000円程度の延滞税が発生することも。
【2】督促状が届く
期限から1か月ほど経過しても納税が確認されないと、税務署から「納付の督促状」が郵送されます。
- 督促手数料などはかかりませんが、心理的なプレッシャーは大きい
- それでも納めない場合は「差押え」や「滞納処分」の対象に…
■ 「うっかり忘れた」でも容赦なし!納税は自己責任
税務署から納付書が届かないこともあるため、
「届かなかったから払ってません」では通用しません。
- 確定申告で税金が発生したら、自分で納付日と金額を確認する
- e-Taxで申告した人は「納付方法の選択」が済んでいるかも要確認
■ 払えない場合の救済措置もある
もし、資金繰りなどの事情で期限内納付が難しい場合は、「納税の猶予」や「分割納付(分納)」の相談が可能です。
- 税務署に事情を説明して申請書を提出
- 条件を満たせば、延滞税の軽減や分割払いが認められることも
ポイント
→ 放置せず、早めに税務署へ連絡を!
期限を守るのは重要な節税でもある
- 確定申告で税金が出たら、納付期限(通常は3月15日)を厳守!
- 遅れると延滞税がかかり、さらに督促や差押えのリスクも
- 困ったら、税務署に「相談」が最善策
確定申告の納税方法Q&A
-
税務署から納付書が届かない!どうすればいいの?
-
届かなくても「納税の義務」は発生しています。
納付書は確定申告書の提出内容や方式(e-Tax/書面)によって届く・届かないが分かれます。
e-Taxで申告した人には、納付書が送られてこないのが通常です。【対応策】
- e-Tax利用者は、納付情報登録依頼から「納付区分番号」を取得し、インターネットバンキングで納付可能
- 窓口納付やスマホアプリ納付を希望する場合は、税務署に連絡して納付書を再発行してもらう
-
e-Taxで申告したけど、支払いは完了してるの?
-
申告と納付は別物です。
e-Taxで「申告」だけしても、「納付」操作をしていない場合は、納税が完了していません。【チェックポイント】
- e-Taxでダイレクト納付やクレジットカード納付を選択・操作したか?
- 支払い手続きの確認メールやスクリーンショットはあるか?
-
スマホアプリで支払いたいけど、納付書にバーコードがない…
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バーコードのない納付書ではアプリ納付できません。
その場合は他の方法(窓口・ネットバンキング・ダイレクト納付など)に切り替えましょう。【対応策】
- 税務署に問い合わせてバーコード付き納付書の再発行を依頼する
- e-Tax経由で「納付情報登録依頼」を送信し、納付番号を取得してネットバンキング納付へ変更
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クレジットカードで払ったのに「未納」と言われた!
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A:納付後すぐには税務署に反映されないことがあります。
国税クレジットカードお支払サイトでの決済情報は、実際の納税確認まで数日かかることも。【注意点】
- 支払直後の税務署からの「未納通知」は行き違いの可能性大
- 納付受付メールや決済完了の画面を保存しておくと安心
- 数日経っても反映されなければ、税務署に問い合わせを
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納税額が30万円超。コンビニで払えないけどどうすれば?
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銀行窓口・ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード納付を使いましょう。
コンビニ納付は30万円未満限定です。【おすすめ代替手段】
- スマホでサクッと → クレジットカード納付
- e-Taxとの連携が便利 → ダイレクト納付
- QRコード決済で2回に分ける
- オーソドックスに → 銀行窓口(納付書必要)
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口座振替を申し込んだけど、ちゃんと手続きできてるか不安…
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申告時に「振替依頼書」を提出していればOKです。
不安な場合は、税務署や金融機関に問い合わせるか、4月の引落し予定日以降に通帳やネットバンキングで確認しましょう。【注意点】
- 残高不足で引き落としエラーになると、延滞税+再納付の手間が発生します
- 事前登録をしていない場合は、翌年から適用になることもあります
まとめ!!
なんとも払いたくない納税ではございますが、納税がしやすいように、様々な納税方法が用意されています。ご自身の金融機関やクレジットカード、スマホアプリの状況を見て、一番ご納得される納税方法で納税するのをオススメ致します!
コレもオススメです!
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投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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