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今回は、これから家を建てよう、あるいは買おうと考えている方にとって非常に重要な「住宅ローン控除」の最新情報をお届けします。

政府が発表した令和8年度税制改正大綱において、住宅ローン控除の制度が大きくアップデートされることが決まりました。結論から申し上げますと、制度は「5年間延長」されますが、中身はこれまで以上に「省エネ性能」と「子育て世帯」を重視した内容に進化しています。

具体的にどのような点に注目すべきか、詳しく見ていきましょう。

1. 制度の期限が令和12年末まで延長されました

もともと住宅ローン控除は令和7年末で一旦の区切りを迎える予定でしたが、今回の改正で適用期限が令和12年(2030年)12月31日まで、5年間延長されることになりました。

住宅の検討から完成・入居までには時間がかかるものです。「来年中に滑り込まなければ」と焦っていた方にとっては、少し余裕を持って計画を立てられるようになったと言えるでしょう。ただし、入居する年によって借入限度額などの条件が細かく変わるため、注意が必要です。

2. 省エネ性能が「控除の分かれ道」になります

今回の改正大綱で最も強く打ち出されているのが、脱炭素社会の実現に向けた「住宅の省エネ化」の促進です。

具体的には、ZEH(ゼッチ)水準以上の高い省エネ性能を持つ住宅には手厚い控除が認められる一方で、性能が低い住宅は徐々に不利になっていきます。

特に注意したいのが新築住宅です。省エネ基準に適合しない「その他の住宅」だけでなく、令和10年以降は、一般的な省エネ基準適合住宅であっても、新築の場合は住宅ローン控除の対象外となってしまう予定です。これからは、単に「新築だから」という理由だけで控除が受けられる時代ではなくなります。

認定住宅などの新築の場合

住宅の区分居住年借入限度額控除率控除期間
認定住宅令和8年~
令和12年
4,500万円0.7%13年
ZEH水準省
エネ住宅
3,500万円
省エネ基準
適合住宅
令和8年・
令和9年
2,000万円

3. 子育て世帯と若年夫婦への大幅な優遇措置

深刻な少子化への対策として、子育て中の世帯や、これから子供を持つ可能性のある若い夫婦には、非常に手厚い上乗せ措置が用意されています。

対象となるのは、19歳未満の扶養親族がいる世帯、あるいは夫婦のいずれかが40歳未満の世帯です。

例えば、最も性能の高い認定住宅を新築する場合、通常の借入限度額は4,500万円ですが、子育て世帯等であれば5,000万円まで拡大されます。ZEH水準の住宅でも、3,500万円の枠が4,500万円にまで引き上げられます。借入額が大きいほど、所得税や住民税の戻りも大きくなるため、子育て世代にとっては大きな追い風となります。

子育て世代の借入限度額

住宅の区分居住年借入限度額
認定住宅などの
新築などの場合
認定住宅令和8年~
令和12年
5,000万円
ZEH水準省
エネ住宅
4,500万円
省エネ基準
適合住宅
令和8年・
令和9年
3,000万円
認定住宅などである
既存住宅の
取得の場合
認定住宅令和8年~
令和12年
4,500万円
ZEH水準省
エネ住宅
省エネ基準
適合住宅
3,000万円

4. 中古住宅(既存住宅)もより使いやすく

これまでは新築に比べて少し控えめだった中古住宅への支援も拡充されます。

まず、省エネ性能が高い中古住宅を取得した場合の控除期間が、これまでの10年間から、新築と同じ13年間へと延長されます。さらに、新築に限られていた「子育て世帯への借入限度額の上乗せ」が、中古住宅にも適用されることになりました。

「中古住宅を購入して自分好みにリノベーションする」という選択肢が、税制面でも非常に魅力的になっています。

認定住宅などである既存住宅取得の場合

住宅の区分居住年借入限度額控除率控除期間
認定住宅令和8年~
令和12年
3,500万円0.7%13年
ZEH水準省
エネ住宅
省エネ基準
適合住宅
2,000万円

5. 床面積の要件緩和と所得制限

住宅の床面積についても、使い勝手が良くなります。通常は「50平米以上」が条件ですが、所得金額が1,000万円以下の方に限り、床面積が40平米以上あれば控除を受けられる特例の範囲が、中古住宅にも広がります。

一方で、年収が高い方へのルールは厳格化されており、合計所得金額が一定を超える場合は控除が受けられない点はこれまで通り継続されます。

6. 新しい視点「災害リスク」への対応

今回の改正で新たに盛り込まれたのが、防災の観点です。

令和10年以降に居住する場合、土砂災害特別警戒区域などの、いわゆる「災害レッドゾーン」で新築(建て替えを除く)された家については、住宅ローン控除が受けられなくなります。

国として「安全な場所に質の高い家を建てること」を税制で後押しする姿勢が鮮明になっています。家づくりを検討する際は、土地のハザードマップを確認することが、節税の面でも必須のステップとなります。

7. 住民税からの控除もしっかり継続

所得税だけでは控除しきれない金額がある場合、翌年の住民税から差し引かれる仕組みも維持されます。

控除額は所得税の課税総所得金額等の5%(最大9.75万円)が上限となりますが、この減税分は国費で補填されるため、お住まいの自治体の税収が減ってサービスが低下する心配もありません。

まとめ

令和8年度の税制改正により、住宅ローン控除は「家を買えば誰でもお得」という制度から、「社会にとって良い家(省エネ・安全・子育て向き)を選んだ人を応援する」制度へと明確に性格が変わりました。

これからマイホームを計画される方は、設計士さんやハウスメーカーの方と「この家は改正後の控除基準でどの区分に該当するか」をしっかり話し合うことが大切です。

当事務所では、具体的な年収や借入計画に基づいたシミュレーションも承っております。「結局、自分の場合はいくら戻ってくるの?」と疑問に思われたら、ぜひお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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