夫婦の共有のお金で宝くじを買ってみたら1億円大当たり!
え~♪運が良すぎる~♪

こんなドラマのような話でも、税金の世界では冷静に“ある論点”が見られます。

それが――
『その1億円、誰のもの?』という問題です。

実はここ、処理を間違えると贈与税が高額にかかる落とし穴になります。

まずは宝くじの基本から行きましょう!

宝くじの当選金は「完全非課税」

まず大前提として、

宝くじの当選金には
所得税なし
住民税なし
申告不要

という扱いになっています。
1,000万円でも1億円でも、当選しただけなら税金は一切かかりません。

ここまでは多くの方がご存じの通りです。

問題は「その後、どう分けたか」

税務トラブルになるのは、ここからです。

例えば――

  • 1億円の当選金をいったん 夫の口座に全額入金
  • その後妻に 5,000万円を振込

この瞬間、税務上はこう判断される可能性があります。

税務署

それ、夫から妻への贈与ですよね?

はい、贈与税!!

宝くじ自体は非課税でも、
人に“あげた行為”には贈与税がかかるのが日本の税制です。

夫婦の共有口座から買った!=50:50ではない

最も誤解が多いのがここです。

税務署が見るのは、

税務署

誰の収入が原資になって、その宝くじを買ったのか?

という点です。

実際のお金の出どころ税務上の当選者
夫の給料100%当選金は 全額 夫のもの
妻の給料100%当選金は 全額 妻のもの
夫6割・妻4割当選金も 6:4で按分

「生活費を同じ口座で管理している」
「家計は共有している」
という事情だけでは、自動的に50:50にはなりません。

民法上は話は別!贈与税は税法!民法上では、夫婦の共有財産でも税法は別!

夫婦で離婚になった場合、夫婦の共同財産で購入したか、妻の婚姻前からの貯金を使って買ったかで、分け方が違う…みたいなお話しを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

ですが、贈与税は税法である…ということを忘れてはなりません。

離婚時とは別ルールで動いています。非常にややこしい話です。

では、どうしたら贈与税がかからずに分けられるか!

購入時の負担通り、按分する

具体例でいうと:

  • 夫の口座から5,000円
  • 妻の口座から5,000円
    → 1万円分の宝くじを購入

この場合に限って、

銀行で
夫5,000万/妻5,000万
と最初から分けても贈与税は一切かかりません

常日頃から、夫婦で話し合って同額を同じ口座に入れて、そこの口座から買った!
という証拠が全部揃っていたら税務署は手も足も口も出せませんね!

逆に「やってはいけない誤解パターン」

よくある誤解がこれです。

  • 生活費は全部夫の給料
  • 妻のお小遣いも元は夫の給料
  • でも「夫婦で当選金を受け取った」

これは 税務上、限りなく黒に近いグレーです。
銀行へ振り込めば、税務署にはバレて贈与税のお尋ねが来る可能性あります。

一方で、それを恐れてタンス預金をしていると、強盗に入られるリスクも上がるとも言います。

宝くじを共同購入し、家族全員で受け取りに行けば贈与税はかからない?

銀行

宝くじのうち、ジャンボ宝くじと全国通常宝くじは共同購入することができます。共同購入した場合、当せん金を購入者全員で受け取りに行けば、非課税で分配できます。

よく、銀行のサイトでは、このように書かれているのですが、これは、「購入者全員」が出資して購入しているというのが前提です。

夫婦で片方しか収入がない場合は、出資者は「収入があ方のみ」ということになり、夫婦や夫婦+子供で受け取りに行っても出資者は収入がある人のみで、ほかの人へは贈与ということになります。

家族全員でいけば贈与にならないのね!!と勘違いされないようにお気を付けください!

税理士の実用的アドバイス

資産として贈与をしたい場合

もし本当に高額当選(1億円クラス)が出たら、

  • 当選金は一度、原資どおりの名義に100%入れる
  • そこから、非課税枠、生活費、不動産や保険設計
    合法的に妻へ移す

これが、
✅ 税務署に突っ込まれず
✅ 夫婦喧嘩にもなりにくく
✅ 一番“安全で現実的”なルートです

非課税枠は他の人からの贈与がなければ暦年贈与の110万円内ならば課税されません!

夫婦や家族で生活や娯楽に使うのもあり!

夫婦旅行は贈与にはなりません。
そのため、ホテル代や航空機代など、ちょっとゴージャスにして夫婦で日々の労いの時間を持つっていうのもいいかもしれません。

宝くじ当選記念旅行♪って素敵ですね。憧れます!!!

税理士としては

1️⃣ 旅行
2️⃣ 家族での記念消費
3️⃣ 住宅やリフォーム
4️⃣ 教育費
5️⃣ 必要に応じて110万円以内の贈与

この順番でおすすめします。

税務上、贈与に当たらないものたち

税法上、夫婦間では

  • 食費
  • 家賃
  • 医療費
  • 教育費
  • 旅行代

など、通常の生活に必要な範囲の支出はそもそも「贈与」に該当しないという取り扱いになります。

宝くじの当選金が原資であっても、
「お金の出どころ」と「使い道」は別物として判断されます。

なので、夫が所有したままで、子供により良い教育環境を与えたり、普段、奥さんばかりが買い物に出かけて重い荷物を運んでいるなら、宅配サービスにしたりするのも、夫が所有したまま、家族のハッピーのために使われるのでそれもあり!ということです。

【まとめ】夫婦円満!宝くじの分け前

宝くじの当選金は非課税です。

100円でも1億円でもどれだけ当たっても所得税や住民税はかかりませんし、確定申告も不要です。
ですが、それを家族に分けようとすると贈与税になったり、使わずに亡くなると相続税がかかります。

ぜひ、ご自身、ご夫婦、ご家族がハッピーに過ごせられるように、税のお勉強をしてくださいませ♪

では良き税ライフを~

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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