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政府が、ベビーシッターや家事支援サービスの利用について、税制上の支援を検討していて、SNSでは大論争を繰り広げられています。

育児や子どもの不登校などが原因で、親が仕事を辞めざるを得ない状況を減らすため、家事支援サービスやベビーシッターの利用促進に取り組む、という方向性です。2026年夏ごろを目途に、税制措置を含む支援策を総合的に検討するとされています。

もちろん、子育て家庭の負担を軽くすること自体は大切です。

ただ、税制の話として見ると、少し・・・いや、かなり違和感があります。

「ベビーシッター代を税制優遇する前に、もっと先に考えるべきことがあるのでは?」という話です。

ベビーシッターや家事支援で助かる家庭はある

まず前提として、ベビーシッターや家事支援サービスそのものを否定する話ではありません。

たとえば、次のような場面では、外部サービスが大きな助けになることがあります。

  • 保育園のお迎えに間に合わない
  • 小学生の放課後の見守りが必要
  • 親が在宅勤務中に数時間だけ子どもを見てほしい
  • 下の子を見てもらい、上の子の学校対応や通院に行きたい
  • 家事負担を減らして、親の疲労を少しでも軽くしたい

共働き世帯が増え、近くに頼れる親族がいない家庭も少なくありません。

そう考えると、ベビーシッターや家事支援サービスの利用をしやすくすることには、一定の意味があります。

ただし「不登校による離職」はベビーシッターで防げるほど甘いものか?

気になるのは、政策の説明として「育児・子どもの不登校等が原因となる離職を減らすため」とされている点です。

ここは、かなり慎重に考える必要があります。

例えば、不登校は、単に「子どもが家にいるから、大人が見守ればよい」という話ではないことが多いからです。
それを考えている人は子供を育てたことないのでしょう。
不登校の理由には、子ども本人の不安、発達特性、学校との関係、いじめ、学習の遅れ、進路の不安、家庭内の疲弊、医療や心理支援の必要性など、さまざまな問題が絡むことがあります。

親が仕事を辞めざるを得ないほど追い込まれるケースは、単なる見守りでは解決しないことも多いはずです。

不登校で親の付き添いや学校との調整が必要な子。

こうした家庭に対して、「ベビーシッターや家事支援を使えば離職を防げる」という説明だけでは、少し現実を単純化しすぎているように感じます。

障害児を育てる家庭こそ、シッターでは解決できない問題を抱えている

さらに見落としてはいけないのが、障害のある子どもを育てる家庭の問題です。

親が仕事を続けられなくなる理由は、単に「家事が大変」「子どもの見守りが必要」というだけではありません。

重度の障害がある子、医療的ケアが必要な子、強い発達特性がある子の場合、一般的なベビーシッターや家事支援サービスでは対応できないことがあります。

本来であれば、放課後等デイサービスなどの障害児通所支援が、学校後や長期休暇中の支援の受け皿になるはずです。

しかし、現実には、すべての子どもが必要な支援を受けられているわけではありません。

医療的ケアが必要な子どもや、重度の障害がある子どもについては、受け入れられる事業所が限られ、本来は最優先でフォローされるべき子供は親任せにされている現実があります。人工呼吸器、胃ろう、たんの吸引、経管栄養など、日常的に医療的ケアが必要な子どもの支援には、看護職員の配置や専門的な対応が必要になるためです。

制度上は利用できるはずでも、実際には「対応できる事業所が近くにない」「空きがない」「人員体制の問題で受け入れが難しい」といった理由で、利用できない家庭もあります。そして、そういう家庭こそ、重度の障害を抱えていて、一番支援が必要だったりします。

これは、親の努力不足ではありません。

むしろ、必要な支援を受けられる体制を十分に整えられていない、制度側の問題です。

特に!!現在でも障害児は家庭に押し付けられがちすぎる!!!

実際に、医療的ケアが必要な子どもを家庭だけで支え続けることの限界を示す痛ましい事件も起きています。

兵庫県姫路市では、重度の呼吸障害があり、定期的なたん吸引が必要だった当時8歳の子どもを自宅に残して外出し、窒息死させたとして、母親が保護責任者遺棄致死の罪に問われた事件がありました。しかも、のちの裁判では、父親による暴力によって、この子は障害をおってしまった…という2重のショックを受けたのを覚えております。

もちろん、子どもを危険な状態で放置することは許されるものではありません。

しかし同時に、たん吸引などの医療的ケアが必要な子どもを、家庭、とくに親ひとりの責任だけで支え続けることには限界があります。

こうした家庭に必要なのは、一般的なベビーシッターや家事代行ではなく、医療的ケアに対応できる専門的な支援、緊急時にも使える預かり先、親が休息できるレスパイト、そして仕事を続けられる制度です。

「親が働き続けるために外部サービスを使えばよい」と言っても、その外部サービスが医療的ケア児を受け入れられなければ、何の解決にもなりません。

さらに!!放課後デイには重すぎる所得制限あり!

放課後等デイサービスなどの障害児通所支援は、原則として利用料の1割負担です。
ただし、世帯の所得に応じて、月ごとの負担上限があります。

区分世帯の所得状況月額上限
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯で、所得割28万円未満4,600円
一般2上記以外37,200円

こども家庭庁の説明では、「市町村民税所得割28万円未満」は、収入が概ね890万円以下の世帯が対象とされています。また、障害児の場合、所得を判断する世帯の範囲は「保護者の属する住民基本台帳での世帯」です。

つまり、ざっくり言うと、世帯収入が概ね890万円を超えると、月額上限が4,600円から37,200円に跳ね上がる可能性があるということです。

負担がなんと約8倍!!

4,600円から37,200円なので、差額は月32,600円。8倍です。
日ごろ、高い税金を払っているのに、子供に対する福祉を平等に扱われないなんて、こんな不平等許していいでしょうか?

障害児の親は、自分たちが亡きあとのことまで考えて働いたり、保険を残しています。
その過程だけを見て「あなたたちは高所得だから8倍ね!」って無慈悲すぎてどうかと思います。

保育料は長年「経費」として扱われてこなかった

もうひとつ大きな論点があります。

それは、働くために子どもを預ける保育料について、日本の税制は長年、基本的に個人の経費として認めてこなかったという点です。

仕事に行くためには、子どもを安全な場所に預ける必要があります。

保育園、学童、病児保育、ファミリーサポート、ベビーシッター。
これらは、働く親にとっては、仕事を続けるための前提費用に近いものです。

しかし、所得税の考え方では、個人の生活に関する支出は原則として「家事費」とされます。
そして、仕事をする上では、絶対必要な保育園のはずなのに、経費として認められず「プライベートのものだから」という理由で経費として認められていません。

国税庁

子どもを預けないと働けない事情は分かるけれど、それは家庭の事情なので、税金計算では原則として考慮しません。

という姿勢だったわけです。

意味不明ですよね。自宅に赤ちゃんを残して働けるとでも?それって虐待ですよね。
なのに、国税庁は「家庭の事情」っていうんですよ。ぜひ、国税庁の各お部屋に子供たちを配置して、子供がいる状況で仕事になるのか、試してほしいものです。子育てをしていない人ほど「できる」と思うし、子育てしている人ほど「できねぇよバーカ!」って思うと思いますよ。もちろん放置は虐待ですから、ちゃんとかまうんですよ。

さて、話戻しましょう。なんの話かというと、保育園なしでは共働きで仕事なんてできないのに、家庭の事情だから経費としては認めない!という話です。

それなのに、いまになって特定のベビーシッターや家事支援サービスについて税制優遇を検討するとなると、

では、これまで保育料を経費扱いしてこなかったのは何だったのか?
シッターは税制優遇して、保育料は変らないのは矛盾だよね??

という疑問が出てきます。

年少扶養控除がないことも忘れるべからず

さらに、年少扶養控除の問題もあります。

かつては、15歳以下の子どもについても扶養控除がありました。

しかし、子ども手当の創設などとあわせて、年少扶養控除は廃止されました。所得税では平成23年分から、住民税では平成24年度分から適用されています。

子どもがいることによる所得控除はなくします。
その代わり、子供手当を26,000円にして、子育てしやすくします!(民主党)

あ、でも、財源なかったから10,000円で。(民主党)

所得制限もするわ(自民党)

年少扶養控除の復活の公約?
公約は選挙のためのものでやることじゃない(自民党)

ところが実際には、児童手当には所得制限が設けられていた時期もありましたし、これだけ物価が上がっていても、児童手当は増えていません。
こんなに耳をダンボのように広げているのに、そんな議論があるという話は聞かない。

子どもがいることそのものへの税制上の配慮は薄くなり、保育料の経費性も認めらない。

その一方で、特定のベビーシッターや家事支援サービスを利用した場合だけ税制優遇するとなると、制度としての順番に違和感があるし
名探偵コ●ンではなくても
「あれれ~おかしいぞ~」
と言いたくなるレベルでおかしいのです。

本当に公平なのは「使った人だけ」の支援なのか

ベビーシッターや家事支援サービスの税制優遇は、一見すると子育て支援に見えますが、実際に利用できるかどうかは、家庭によって大きく差があります。

都市部にはサービスが多くても、地方では選択肢が少ないかもしれません。
利用料が高ければ、そもそも使える家庭が限られます。
子どもの特性によっては、一般的なベビーシッターでは対応できないこともあります。
祖父母や親族の協力で何とかしている家庭には、恩恵が届きません。

つまり、「サービスを利用した人だけが税制優遇を受けられる制度」は、子育て家庭全体に公平に届く制度ではないのです。

本当に子育て支援として税制を考えるなら、まずは「子どもを育てていること」そのものに対する公平な配慮が必要ではないでしょうか。
そもそも、これ、本当に子育てのための制度か???って思ってきませんか?

家事支援サービスの拡大は、外国人材の受け入れとも関係している

もうひとつ見落とせないのが、家事支援サービスの拡大と外国人材の受け入れとの関係です。

家事支援サービスについては、すでに国家戦略特区の仕組みの中で「家事支援外国人受入事業」が行われています。

内閣府・地方創生推進事務局の説明では、この事業は、女性の活躍促進、家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長の観点から、国家戦略特別区域内で家事支援活動を行う外国人を受け入れる制度とされています。

つまり、家事支援サービスの拡大は、単なる子育て支援だけでなく、労働力確保やサービス産業の育成、外国人材の活用とも結びついている政策分野です。

もちろん、外国人材が家事支援の現場で働くこと自体を否定する話ではありません。

問題は、それを「子育て支援」として税制優遇するのであれば、本当に子育て家庭全体に公平な支援になっているのか、という点です。
そして、一部の業種に対して、利益誘導ではないか?とも言えます。

保育料、学童、病児保育、放課後等デイサービス、障害児支援、年少扶養控除といった、より広く子育て家庭に関わる制度、それも命に係わるものが後回しにされる一方で、特定の家事支援サービスの利用だけが税制優遇されるのであれば、それは子育て支援というより、家事支援サービス市場を広げるための政策に見えますよね。

支援の優先順位としては、年少扶養控除や保育料のほうが先では?

ベビーシッターや家事支援サービスへの支援が不要だという話ではありません。

問題は、優先順位です。

税制で子育て世帯を支援するなら、まず考えるべきは次のようなものではないでしょうか。

  • 年少扶養控除の復活:働けない子供に人的控除がないのはおかしい
  • 保育料、学童、病児保育などへの税制上の配慮
  • 障害児、医療的ケア児、不登校児を抱える家庭への直接支援
  • 子の看護休暇、介護休暇、時短勤務などの制度拡充
  • 親が仕事を辞めずに済むための所得補償や職場環境の整備

そのうえで、ベビーシッターや家事支援サービスも選択肢のひとつとして支援する。

この順番なら、まだ納得感があります。

しかし、年少扶養控除はない。
保育料の経費性も基本的に認めてこなかった。
その状態で、特定サービスの利用だけを税制優遇するとなると、子育て支援というより「特定サービスの利用促進税制」に見えてしまいます。

今までの減税なら財源論があったはず…今回の財源は「子育て支援金」ではないか?

こども家庭庁は、2026年4月から徴収開始した子ども・子育て支援金について、徴収した支援金は法定された支援納付金対象費用に充てるため、流用はないと説明しています。

現時点で対象とされているのは、児童手当の拡充、こども誰でも通園制度、妊婦支援給付金、育児休業給付の拡充などであり、ベビーシッターや家事支援サービスの税制優遇に使われると決まっているわけではありません。

ただし、「流用はない」という説明は、あくまで現在の対象費用を前提にしたものです。将来、法律や制度改正によって対象費用が追加されれば、支援金の使い道が広がる可能性はあります。

だからこそ、ベビーシッターや家事支援サービスへの税制優遇を検討するのであれば、その財源が税収減なのか、補助金なのか、既存の拠出金なのか、それとも子ども・子育て支援金と関係するのかを、明確に説明すべきです。

果たして、子育て支援なのか?労働力確保策なのか?

今回の議論には、もうひとつ気になる点があります。

それは、この支援が「子育て支援」なのか、「労働力確保策」なのか、「外国人労働者の雇用確保」なのかが少し曖昧に見えることです。

政府資料では、育児や不登校等が原因となる離職を減らすため、家事支援サービスやベビーシッターの利用促進に取り組むとされています。
つまり、背景には人手不足対策、女性の就労継続、共働き世帯の離職防止といった政策目的もあるのでしょう。

もちろん、それ自体は重要です。
人手不足対策だ!と言いますが、シッターや家事支援の仕事はもともと家庭内の誰かがやっていた仕事を外注しているだけ。その分、外で稼ぎ、税金や年金を払い、残ったお金でシッターを雇う…というお金の循環が生まれるってだけな気がしています。そこで一番置いてきぼりにされているのは子供の気持ちなような気がしております。

そもそもが、本当に子育て支援をするつもりなら、児童手当の増額とか、扶養控除の増額でいいのですよ。
余計なことしなくていいので、自由にお金を使えるようにしてくれるのが一番の子育て支援だと感じております。

その中で、シッターを雇いたい人は雇えばいい。それだけの話です。

家事支援を子育て支援という理由は「子育て支援金」を使いたいからでは??

家事支援サービスやベビーシッターの利用促進には、子育て家庭の負担軽減という面があります。

しかし、それだけではありません。政府資料を見ると、離職防止、女性の就労継続、サービスの人材育成・確保、公的資格の検討、家事支援サービス市場の拡大といった目的も含まれています。家事支援分野では、国家戦略特区における外国人家事支援人材の受け入れも行われてきました。つまり、この分野は、子育て支援だけでなく、労働力確保や外国人材活用とも関係する政策分野です。

それにもかかわらず、執拗に「子育て支援」として説明されると、子ども・子育て支援金との関係が気になります。

現時点で、ベビーシッターや家事支援サービスへの税制優遇に子ども・子育て支援金が使われると決まっているわけではありません。

しかし、将来、制度改正によって対象費用が広がれば、支援金の使途が拡大する可能性はあります。

だからこそ、政府はこの制度について、子育て支援なのか、離職防止策なのか、家事支援サービス産業の育成策なのか、外国人材を含む労働力確保策なのかを、曖昧にせず説明すべきです。

子育て支援金を財源にする可能性があるのなら、なおさらです。保険料に上乗せして広く負担を求める以上、誰が負担し、誰が恩恵を受け、どの事業者にお金が流れるのかを明らかにする必要があります。

まとめ:支援は必要。でも、順番と対象はよく考えるべき

ベビーシッターや家事支援サービスの利用すること自体は別に良いと思います。
仕事と育児の両立に困っている家庭にとって、外部サービスの選択肢が増えることは大切です。

しかし、それを税制優遇するなら、税制は税の三原則のもと「公平・中立・簡素」であるべきです。

これまで保育料の経費性を認めてこなかったこと。
年少扶養控除が廃止されたままであること。
児童手当が物価高対応されていないこと。
不登校や障害児支援のように、単なる見守りや家事代行では解決しない問題があること。

これらを置き去りにして、ベビーシッターや家事支援サービスの利用だけを優遇するのは、中立でも、公平でもない
ベビーシッターや家事支援サービスの企業、外国人誘致を行う企業への利益誘導と疑われても仕方がないくらい、中立性も公平性もない。
ベビーシッターや家事代行サービス企業は国の認定を受けてサポートした家庭についても報告の義務が生じるでしょう。
もちろん、利用者も確定申告が必要。簡易でもない。

そして、子育てしていない人からは「最近の子育てはラクでいいわね。シッターも雇えるんでしょ?」と嫌味を言われるんですよ…
子育て当事者としてはウンザリです。そんなの利用する余裕もないし、家に人呼びたくない。子供を信頼できる人以外に触れてほしくない。そういう人もいるのに、不公平です。

子育て支援を税制で考えるなら、まずは「子どもを育てている家庭」そのものに公平に届く仕組みを考えるべきではないでしょうか。

少なくても、子育てしている当人としてはベビーシッター・家事支援税制を「子育て支援」という名前を使わないでほしいです。

投稿者プロフィール

YFPクレアグループ
YFPクレアグループ
税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。

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