アルバイトやパート勤務でも、一定の条件を満たすと確定申告が必要になります。
「自分は関係ない」と思っていても、気づかないうちに該当していることもあるので注意が必要です。
ここでは、アルバイトでも確定申告が必要になる主なケースと、申告しないとどうなるのかを解説します。
知っておきたい「年収の壁」~103万円→160万円→178万円へ~
以前は、給与収入が年103万円を超えると、本人に所得税がかかり始めるといわれていました。103万円の壁は1995年からかれこれ30年間ぐらい物価が上がろうが、消費税が上がろうが変えなかったものです。
が、ようやく動くことになりました。2025年分は、給与所得控除65万円と基礎控除最大95万円を合わせ、給与収入160万円まで所得税がかからない仕組みになりました。さらに2026年分と2027年分は、給与所得控除の最低額が74万円、基礎控除が最大104万円となります。
給与収入だけで、ほかに所得がない場合は、
給与所得控除74万円+基礎控除104万円=178万円
となり、年収178万円以下であれば、原則として所得税はかかりません。
ただし、これはあくまで「本人の所得税がかかり始める目安」です。
年収178万円までなら、親の扶養に入れる、住民税がかからない、社会保険料を払わなくてよい、という意味ではありません。税金や社会保険には、それぞれ別の基準があります。
所得税がかからなくても、確定申告が必要なことはある?
年収178万円以下で所得税がかからない場合は、所得税を納めるための確定申告は原則として必要ありません。一方、給与から所得税が天引きされている場合は、確定申告をすることで税金が戻ることがあります。
特に、アルバイト先へ「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない場合は、給与から所得税が多めに天引きされる「乙欄」が適用されていることがあります。年末調整を受けていなければ、確定申告で1年間の税額を精算しましょう。
確定申告が必要な人の主なパターン
- 年末調整をしてもらっていない場合
扶養控除申告書を出していない、年内に退職したなどで年末調整が行われなかった場合は、自分で申告する必要があります。ただし、年間の所得や控除を計算した結果、納める所得税がなければ、所得税の確定申告義務がないこともあります。 - 複数のアルバイト先から給与を受け取っている場合
たとえ1か所で年末調整が済んでいても、他の勤務先からの給与(従たる給与)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
この条件は、給与所得控除や基礎控除の適用にかかわらず、明確に定められています。なお、20万円以下なら必ず申告不要というわけではありません。所得や所得控除の状況によって判定が異なるほか、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。 - 副業やフリーランス収入がある場合
最近では、動画配信やイラスト、配達員などの業務委託などで副業や副収入を得る人も増えました。
雑所得や事業所得が年間20万円を超えている場合も、確定申告の対象になります。 - 還付を受けたい場合(医療費控除、ふるさと納税など)
医療費控除や寄附金控除などを利用したい人は、所得税が発生していなくても申告することで税金が戻ってくる可能性があります。 - 学生アルバイトは「勤労学生控除」も確認
働きながら学校へ通っている学生は、一定の要件を満たすと「勤労学生控除」を受けられます。2026年分は、給与収入だけであれば年収163万円以下が目安で、所得税の控除額は27万円です。ただし、2026年分は給与収入だけなら原則として年収178万円以下まで所得税がかからないため、勤労学生控除を使わなくても所得税が発生しないケースが多くなります。なお、勤労学生控除を受けたからといって、自動的に親の扶養から外れるわけではありません。親の扶養控除や健康保険の扶養は、別の基準で判定します。
確定申告しないとどうなる?
- 払いすぎた税金が戻ってこない(還付されない)
- 無申告加算税や延滞税のリスクがある
- 住民税や健康保険料に影響が出ることもある
「やらなくてもバレない」は危険です。該当しそうなら、期限内に申告しましょう。
うっかり申告を忘れてしまったら?~期限後申告という選択肢~
確定申告の期限(原則3月15日)を過ぎてしまっても、「期限後申告」として申告することは可能です。
医療費控除や源泉徴収の還付など、税金が戻るケース(還付申告)であれば、期限を過ぎても5年以内なら問題なく受け付けられます。
「うっかり忘れていたけど、戻ってくるお金がある」という人は、諦めずに申告しましょう。
一方、本来は税金を納めるべきだったのに申告しなかった場合には、期限後に申告しても次のような附帯税(ペナルティ)がかかることがあります。
- 無申告加算税:原則15%(税務署に指摘される前に自主的に申告すれば5%に軽減)
- 延滞税:納期限の翌日から加算、年利1.6%程度(時期により異なる)
とはいえ、税務署から指摘される前に自分から申告することで、ペナルティを大幅に抑えることができます。
忘れていたことに気づいたら、すぐに動くことが何より大切です。
健康保険の扶養は130万円?150万円?
学生で親の健康保険の扶養に入っている人は、収入要件にも注意が必要です。
原則として、健康保険の扶養に入れるのは年間収入130万円未満の人です。
ただし、2025年10月から、19歳以上23歳未満の配偶者以外の親族については、年間収入要件が150万円未満へ引き上げられました。したがって、大学生年代の子どもであれば、年間収入150万円未満が親の健康保険の扶養に入るための目安になります。
この150万円基準は、学生であることではなく、年齢で判定します。
また、配偶者は対象外であり、配偶者の扶養基準は引き続き原則130万円未満です。なお、年収要件を満たしていても、勤務先で社会保険の加入条件を満たす場合は、自分の勤務先の健康保険・厚生年金へ加入することがあります。
※注意「年収の壁」は1つではない
アルバイトをしている人が確認したい主な基準をまとめると、次のようになります。
| 年収の目安 | 関係する制度 |
|---|---|
| 自治体により異なるが100万円くらい | 住民税がかかり始める基準 |
| 約106万円 | 社会保険の旧賃金要件。2026年10月に撤廃予定 |
| 130万円未満 | 健康保険の被扶養者となる原則的な基準 |
| 136万円以下 | 勤労学生2026年分の親の扶養控除の給与収入目安 |
| 150万円未満 | 19歳以上23歳未満の子などの健康保険の扶養基準 |
| 159万円以下 | 19歳以上23歳未満の特定親族特別控除が満額となる範囲 |
| 163万円以下 | 2026年分の勤労学生控除の給与収入目安 |
| 178万円以下 | 2026・2027年分の本人の所得税がかからない目安 |
| 197万円以下 | 19歳以上23歳未満の特定親族特別控除が残る範囲 |
同じ「扶養」という言葉でも、
- 本人に所得税がかかるか
- 親が扶養控除を受けられるか
- 親の健康保険の扶養に入れるか
- 自分の勤務先で社会保険に入るか
は、それぞれ別に判定します。
ぶっちゃけ、ややこしいです!!!
まとめ
| 状況 | 確定申告の必要性(2025年分~) |
| 年末調整あり・給与所得のみで178万円以下 | 不要(原則OK) |
| 年末調整なし | 必要 |
| 掛け持ちアルバイトで従たる給与が20万円超 | 必要 |
| 副業・フリーランスで20万円超 | 必要 |
| 医療費控除・寄附金控除を受けたい | 還付申告でお得 |
| 期限後に申告 | 還付ならOK、納税でも軽減措置あり |
2026年分は、給与収入だけであれば、年収178万円以下が本人に所得税がかからない目安です。
しかし、親の税法上の扶養は136万円、大学生年代の健康保険の扶養は150万円未満、勤労学生控除は163万円など、制度によって基準は異なります。
さらに、社会保険のいわゆる106万円の壁は、2026年10月に賃金要件が撤廃される予定です。
「年収○万円以下なら全部大丈夫」と考えるのではなく、
- 自分の所得税
- 親の所得税
- 健康保険の扶養
- 勤務先の社会保険
- 確定申告の必要性
を分けて確認しましょう。
複数のアルバイトや業務委託を掛け持ちしている場合は、源泉徴収票や支払調書、収入・経費の記録を早めに整理しておくことをおすすめします。
「申告する必要があるのにしていなかった…」ということにならないよう、年明け前後に自分の収入と控除をチェックしておくのがオススメです。
それでも「よくわからない」「色々やってるせいで複雑!」とお悩みの方は、一度税務署の相談窓口や税理士に相談してみるというのもいいかもしれません。
初回の相談は無料でしてくれる税理士事務所も、探してみると最近は増えてきているようです。
ですが、1月以降はどこの税理士事務所も確定申告で忙しくて電話にも出られない…というケースもあります。そんな時は税務署に尋ねるのがオススメ。無料で教えてくれます。
ですが、一番いいのは、税理士も税務署も余裕がある6~11月の間に聞くことです。
自分の場合は確定申告が必要か、しっかり把握しておきましょう!
投稿者プロフィール

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税理士法人、行政書士法人、社労士事務所などのグループです。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。専門用語には注釈をつけたり、いつも払っているだけの税金のその先も知ってもらえたら嬉しいです。
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実際の申告や手続き、具体的な判断が必要な場合は、国税庁・自治体等の公的情報をご確認のうえ、税理士などの専門家へご相談ください。


