税を身近に!【わかる税】編集部です。
私の記憶が正しければ、2024年10月前後。要は衆議院選挙前後において現役議員さんから「減税したら全国の道路が穴だらけになるぞ!」というポストを拝見しました。2025年8月には埼玉県八潮市では直径40m、深さ15mの巨大な道路陥没事故が発生した後だったので恐怖心を煽られたのを覚えています。
ですが、そのすぐ後に「減税してなくても空いてるじゃないか!」というツッコミを見て、確かに…と感じたんですよ。
なので、本当に減税をしたら道路に穴が空くのか、増税したら道路に穴は空かなくなるのか…についてChatGPTに聞いてみました。
道路に使われる税金はいくら?元々は“目的税”だった
◆ かつての「道路特定財源制度」とは?
かつて日本には、「道路特定財源制度」という仕組みがありました。
これは「道路整備のためだけに税金を徴収し、その税金は道路のためだけに使う」という制度です。
◆ 道路特定財源に使われていた主な税金
税目 | 特徴 | 税収規模(ピーク時) | 主な使途 |
---|---|---|---|
ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税) | ガソリン1Lあたり約54円(税率ベース) | 約3.3兆円 | 道路の建設・維持管理・高速道路整備など |
自動車重量税 | 車検時に支払う(重量に比例) | 約0.7兆円 | 同上 |
自動車取得税(※現在は廃止) | 車購入時に課税 | 約0.5兆円 | 同上 |
軽油引取税(地方税) | トラックなどに多い軽油に課税 | 約0.9兆円 | 地方道の整備など |
👉 ピーク時には年間約5.3兆円が道路整備に使われていました。
参考資料:道路特定財源の一般財源化 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 619(2008.11.25.)
◆ なぜ目的税だったのか?
- 日本は戦後、高度経済成長とモータリゼーション(車社会)の急拡大に伴い、道路が極端に不足していました。
- そこで「この税金は道路に使うから納得して払ってね」という形で、納税者に対して“使い道を明示”したうえで徴収していたのです。
- 実際、1960〜90年代にかけて地方まで高速道路やバイパス、トンネル、橋が整備されました。
◆ 問題点:財源は余りはじめた…
2000年代に入ると、次のような状況に。
- ある程度インフラが整い、「これ以上そんなに道路いらなくない?」という声が出る。
- しかし目的税で集めた以上、「道路にしか使えない」。
- 結果:使い切れないお金で「不要不急の道路を無理やり造る」→無駄遣いの象徴扱い。
◆ 2008年、一般財源化へ
かつては多くの「目的税(=特定財源)」が存在しましたが、2008年、小泉改革→福田政権により多くが一般財源化されました
福田康夫内閣のもと、2008年度に大きな転換が起こります。
「道路だけでなく福祉・医療・教育など必要なところに使おう」という考えから、
上記のような税金の“特定財源”を廃止し、一般財源に移行しました。
これがいわゆる「道路特定財源の一般財源化」です。
◆ 一般財源化後の変化
時期 | 税の位置付け | 実態 |
---|---|---|
〜2008年 | 目的税(特定財源) | 道路にしか使えなかった |
2008年〜 | 一般財源化 | 使い道は自由だが、逆に道路に回らないことも |
- ガソリン税自体は廃止されず、税金としては残ったまま。
- ただし「何に使うかは政府が決めてよい(=道路以外でもOK)」という状態に。
2025年度はどうなのか!?
埼玉県八潮市や博多市、その他の街でも次々に陥没事故が起こる中で、どのように変わったのか?
というと、衝撃的なことに「あまり変わっていない…」ということが分かりました。
2025年度 道路予算:総額と構成
道路関係予算合計: 約2兆3,137億円
- 国による直轄事業:1兆4,578億円
- 自治体への補助事業:8,560億円
◆ そして今:道路整備は“財務省と交渉”する時代に
現在、道路予算は国交省が財務省と交渉して、毎年の予算に盛り込んでもらう形です。
- 年間の国費ベースで道路関係予算は約1.5〜2兆円程度(防衛費よりは少ない)
- 地方自治体も地方債や交付税、補助金で補っているが、十分ではないケースも。
そういえば、ガソリンの暫定税率は?
(2025年6月20日 廃止法案が衆議院可決するも、参議院では廃案に)
こちらの記事、書いている最中に速報でガソリンの暫定税率廃止法案が衆議院で可決したと知りました。
それを語る前に、ガソリンの暫定率についても知りましょう!
暫定税率とは?
- ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)は本則税率として1リットルあたり28.7円(揮発油税24.3円+地方4.4円)です。
- そこに、1974年のオイルショック以降に、暫定措置として25.1円が上乗せされ、計53.8円の税率となりました 。
- この上乗せ部分が「暫定税率」で、道路財源の不足に対応する目的で導入された経緯があります 。
なぜ「暫定」なのに続いているのか?
- 本来は一時的措置のはずでしたが、インフラ整備や社会保障の財源として恒久化し、半永久的に続いてきた課税制度です。
- そのため、公共投資の安定財源として位置づけられる一方で、批判も多くありました。
廃止への動きと影響
- 2008年の「道路特定財源の一般財源化」以降も、暫定税率は残存し続けています
- 近年では、野党や一部与党から「暫定税率を廃止しよう」との声が上がり、2025年3月に法案が提出されました。
→2025年6月20日に衆議院で可決。参議院へ。6月21日、採決見送りで廃案に。
今後の見通し
- 暫定税率(25.1円/ℓ)を廃止すると、国と地方合わせて年間約1.5兆円の税収減となります
- 与野党間で協議中ですが、財務省・与党側は代替財源の確保を重視しています 。
- 2025年5月22日からは、廃止までのつなぎとして1リットル10円の補助が実施されました
暫定税率の構造的意味
項目 | 内容 |
---|---|
暫定税率 | 本来の本則税率28.7円に上乗せされた25.1円分 |
存続理由 | 道路・社会保障などの財源を安定化するため |
問題 | 結果として「税率が高止まり」し、負担ばかり増えていた |
廃止議論 | 約1.5兆円の税収減をどう補うかがカギ |
まとめ
- 暫定税率は“暫定”でなく、半世紀近く続いた上乗せ税でした。
- 現在は廃止に向け制度が動き始めており、2025年5月から補助金で暫定負担分の一部を還元しています。
- 廃止のためには、代わりの財源の調整や地方減収への対応が必要です。また、これが実現すれば、ガソリン価格は1リットルあたり最大25円程度下がる可能性があります。
- 道路に穴が空く理由は「財源の絶対額」よりも「優先順位の問題」です。
特定財源から一般財源への転換がもたらしたこと
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | 財政の柔軟性向上。道路以外の分野にも使えるように。 |
デメリット | インフラ老朽化対策に予算が回りにくくなった。予防保全が後回し。 |
結果 | 税金はあるのに「道路に穴が空く」矛盾した状態が生まれている。¥ |
◆ 実際、財源は“ゼロ”ではない
- 日本の国の歳出は年間約110兆円以上(2025年度予算ベース)ある。
- 地方自治体も含めると、公共事業費・交付金などに数兆円単位の予算が毎年投じられています。
- その中には当然、道路維持管理費も含まれており、財源が「まったくない」というわけではありません。
- 現在も推定に過ぎませんが、ザックリ見積もりで「かつては道路のために使われていた財源」による税収
税目 | 税率/徴収方法 | 徴収額(規模) |
---|---|---|
ガソリン税(本則・地方・暫定込) | 約54円/L | 約2.5〜3兆円/年 |
自動車重量税 | 車検ごと支払い/車両重量で変動 | 数千億円〜1兆円規模/年 |
軽油引取税 | 約32円/L | 数千億〜1兆円/年 |

もともとは道路のために集められていた税金(5兆円)はほかで使われる様になり、
現在は2兆円程度しか道路に使われていないの!
道路の穴が空くのは、道路のためのお金を他で使ってしまっているから?とも考えられます!
◆ それでも穴が空く理由は「優先順位と政治判断」
問題点 | 内容 |
---|---|
💬 選挙で票になりにくい | 新設道路や大規模事業と違って、地味な補修・老朽化対応は注目されず、政治家も優先しにくい。 |
📊 行政内部の“見えにくさ” | 地中の下水管や道路基盤の老朽化は住民から見えず、目立つ案件(観光PR・新施設など)に予算が回りやすい。 |
👷 人材・技術リソースの不足 | インフラ維持を担う地方技術職員の減少、外注先の高齢化・人手不足で、予算があっても施工が進まない。 |
📉 更新率が低すぎる | 全国平均で下水管の更新率は年0.6%前後。つまり、更新に約150年以上かかる計算。 |

もともとは道路のために集められていた税金(5兆円)はほかで使われる様になり、
現在は2兆円程度しか道路に使われていないの!
道路の穴が空くのは、道路のためのお金を他で使ってしまっているから?とも考えられます!
◆ 「財源があるのに穴が空く」構図の例
- 例えば、地方自治体が毎年の道路補修予算を確保していても、予防保全でなく“壊れてから対応”にとどまっているケースが多く、
- それは「目の前の大規模イベントや福祉予算」に押されて、計画保全が後回しになっているからです。
◆ 政治的な選択が「穴を空けている」
つまり、
穴が空くのは「お金がないから」ではなく、「穴が空く前に修理しておこうという意思と制度が弱いから」。
これは、予算の使い方の優先順位と執行判断の問題であって、国家や自治体の財政破綻のせいとは言い切れません。
観点 | 実情 |
---|---|
財源 | 十分とは言わないが「ゼロ」ではない。むしろそれなりに確保されている。 |
原因 | 優先順位の後回し、政治的インセンティブの欠如、技術者不足などが複合的に影響。 |
本質 | 穴が空く前にメンテする文化と制度設計が必要。特定財源化も一案。 |
編集部 後書き
つまり、道路に関する優先順位を上げない限り、道路には穴が空く。
増税とか減税とかよりも、意識の問題ということ。
実際、税収は上振れていても、選挙前に国民に2万円配っても、日本各地の道路に穴が空いていても、予算は増えていません。
最後に・・・
この記事はChatGPTをもとに、一部修正・加筆しながら書いています。
予算などについてはソースを確認するなどの人間による手作業を加えていますが、その正確性と安全性を保証するものではありません。
投稿者プロフィール

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税理士事務所にてサイトを作って約10年。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。
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