子どもが欲しいけれど、仕事を休んで生活は大丈夫かな…

産休・育休って聞くけど、実際どんなサポートがあるの?

そんな風に思ったことがある方は多いはずです。特に今は、共働き家庭が一般的になり、「収入が減る不安」は、男女問わず多くの人が感じる現実です。

でも、安心してください!
実は日本には、出産や育児のタイミングで働けない期間でももらえる「お金の支援」や「社会保険の免除制度」が整っています。しかもそれは、先輩パパママの意見をもとに「あなたの生活」を守るために考えられたもの。

このコラムでは、これから産休や育休を迎える方、そしていつか子どもを迎えたいと考えている方へ向けて、
・どんな人が
・どのくらいお金をもらえるのか
・社会保険料や年金はどうなるのか
を、産休も育休も経験した筆者がわかりやすく解説していきます。

「知っている」だけで、未来の不安がぐっと軽くなる。
そんな気持ちになれるよう、お手伝いができれば幸いです。

1.まずは出産前後からの小学校に入るまでのざっとしたお金の話

全体像がわからないとイマイチ分からない…ということは多いと思うので、最初にザックリなお話をします。

生まれる前母子の検診のためにクーポンが配られる市区町村が多いです。
母子ともに健康な場合は病院関係の出費がほとんどない状態で出産に臨めることもあります。
出産時出産育児一時金(分娩や入院費用)
出産手当金
育休時育休手当
社会保険料免除
保育園入園市区町村によって異なるが、年収が低く、育児が難しい条件の人から優先で保育園決定。
保育料は0~2歳児クラスは0~8万円程度(年収や家庭状況によって異なる)
3歳からは幼保無償化の対象になるので無料(昼食代などは自腹)
児童手当3歳未満 15,000円(第3子以降は30,000円)
3歳以上 高校生年代まで 10,000円(第3子以降は30,000円)

2. 出産前後にもらえるお金とは?

出産にかかる費用や、仕事を休む間の収入減…。そんなとき、頼りになるのが「出産育児一時金」と「出産手当金」です。まずはこの2つの制度について見ていきましょう。

2-1. 出産育児一時金(健康保険から支給)

出産には、分娩費用や入院代など、まとまったお金が必要です。
このとき支給されるのが出産育児一時金。健康保険(協会けんぽや健保組合など)から原則50万円(産科医療補償制度に加入していない場合は48.8万円)が支給されます。

申請方法は、出産した医療機関が保険者と直接やり取りする「直接支払制度」を利用することで、窓口での高額な支払いを減らすこともできます。

対象者
・健康保険に加入している本人または扶養されている配偶者
・妊娠12週(85日)以上の出産(死産・流産含む)であればOK

🌼 ポイント:帝王切開でも、普通分娩でも金額は同じです!

2-2. 出産手当金(産前産後休業中の給与代わり)

会社員や公務員の方が、出産のために仕事を休む場合、「お給料が出ない」こともあります。
その穴を埋めるために支給されるのが出産手当金です。

これは、健康保険に加入している会社員や公務員が対象で、出産前42日間+出産後56日間(双子以上は出産前98日)の間に仕事を休んだ日数分、給与の代わりとして支給されます。

支給額の目安
およそ「1日につき標準報酬日額の2/3」×休業日数
(標準報酬日額=月給を30で割ったもの)

例:月給30万円なら…
👉 1日あたり約6,666円 × 98日 ≒ 約65万円

🌼 ポイント:有給や一部給与が出ている場合は、その分減額されるので要注意!

3. 育休中にもらえるお金とは?(育休手当)

赤ちゃんが生まれたあと、しばらく育児に専念したい――そんな時に支えとなるのが「育児休業給付金」です。通称では「育休手当」と呼ばれる事が多く、浸透しているのではないでしょうか?
これは雇用保険から支給される制度で、会社員やパートなど、雇用保険に入っている方が対象です。一方で、専業主婦の方や、個人事業主では使えません。ただし、母親が専業主婦でも、サラリーマンの父親が育休を取得する場合はもらえます。

3-1. 育児休業給付金(雇用保険から支給)

育児休業給付金は、子どもが1歳になるまで(一定条件で最大2歳まで延長可能)、育児のために仕事を休む間に受け取れる給付金です。

支給額は、休業前の賃金をもとに決まります。

支給額の目安

  • 育休開始から6か月間 → 月給の67%
  • 7か月目以降 → 月給の50%

※いずれも上限・下限はあり、税金や社会保険料が差し引かれない「非課税収入」であるため、実質的な手取りは意外とある…と感じる人も多いかもしれないです。

3-2. 月給別!給付額シミュレーション

月給(額面)〜6か月目(月額67%)7か月目〜(月額50%)
200,000円約134,000円約100,000円
250,000円約167,500円約125,000円
300,000円約201,000円約150,000円

🌼 給付は実際に育児休業を取得した日数分のみ支給されます。たとえば予定より早く復職した場合、その分支給期間も短縮されます。

3-3. 育休延長でも給付は継続される?

以下のような特別な事情がある場合は、育児休業と育児休業給付金の支給期間が、子が1歳6か月まで延長可能となります。

  • 保育園に申し込んだが、空きがなく入所できない(待機児童)
  • 主たる養育者(配偶者等)が死亡・病気・ケガなどで育児できない
  • 離婚などで配偶者と同居しなくなった
  • 妊娠中で、出産予定日まで6週間(多胎妊娠は14週間)以内
  • 出産後8週間以内で産後休業中

さらに、これらの事情が続く場合は、子どもが2歳になるまで延長可能となり、その間も給付金が支給されます。

3-4. パパ・ママ育休プラス制度

両親ともに育児休業を取得する場合、育児休業期間を「子が1歳2か月になるまで」延長できる制度です。
例えば、子どもが1歳になるまではママが育休を取り、その後交代で1歳2か月になるまでパパが育休を取得するケースなどが該当します。

このように夫婦でうまく分担すれば、それぞれが育児休業給付金を受給でき、長く子どもと過ごす時間を持つことが可能です。

3-5. 法改正でさらに柔軟に!産後パパ育休と分割取得

令和3年6月の法改正により、育児休業はより柔軟な取得が可能になりました。

  • 育休の分割取得(最大2回まで)が可能に
  • 1歳以降に延長する際も、開始日を柔軟に設定可能
  • 「パパ休暇」が拡充され、産後パパ育休(出生時育休)として、
    産後8週間以内に2回に分けて取得可能

これにより、パパも通常の育児休業と合わせて最大4回まで取得可能になりました。
もちろん、これらの育休取得中も育児休業給付金の対象です。

子どもは個性のかたまり!よく寝る子もいれば、全然寝ないで遊べる子もいます。『個性』で済ますには大変すぎる!という寝不足のときは、パパも育休使ってぜひ、子育て戦士パパになって下さい^^赤ちゃんのお世話ができる時間なんて、人生90年あっても2~3年しか出来ない経験です!

3-6. 育児休業給付金の入金タイミングは約4ヶ月後

育児休業給付金は、育児休業が始まった直後には振り込まれません。実際には「2か月ごとにまとめて支給」される仕組みになっているため、初回の入金は、産後休暇(8週間)が明けてからさらに2か月ほど後になります。

つまり、出産日から約4か月後にようやく初回の給付金が振り込まれる、というイメージです。

そのため、育休中の前半は、パートナーの収入や貯金などで生活費を賄う必要がある点に注意が必要です。

3-7. 育児休業給付金の計算方法と上限額

給付金の支給額は、休業前の賃金に一定の割合をかけて計算されます。

計算式:

育児休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 支給率

  • 支給率は、育休開始から6か月までは 67%
  • 6か月を超えると 50% に下がります

休業開始時賃金日額とは?

これは、育休開始前6か月間の総賃金を180日で割って算出されます。

たとえば:
6か月間の総賃金が120万円(月額20万円)の場合
→ 120万円 ÷ 180日 = 6,667円(1円未満四捨五入)

これをもとに、

  • 6か月目までの支給額:6,667円 × 30日 × 67% ≒ 134,000円
  • 7か月目以降の支給額:6,667円 × 30日 × 50% ≒ 100,000円

※10円未満は切り捨て

支給には上限あり!

育児休業給付金には「支給限度額」が設けられており、どんなに高給でも、一定額以上は支給されません。
上限額は毎年見直されており、たとえば令和4年2月時点では以下のとおりです:

  • 育休開始から6か月まで:日額上限12,600円(概ね月額約26万円)
  • 6か月以降:日額上限9,400円(概ね月額約20万円)

会社からの給与がある場合の取り扱いは?

育休中に会社から給与が支払われている場合、その金額によって育児休業給付金が調整されます。

  • 給与が通常の13%以下(6か月以降は30%以下)の場合:
     → 給付金は満額支給
  • 給与が13%超(6か月以降は30%超)かつ80%以下の場合:
     → 「賃金の80%」と実際の給与の差額が支給される仕組み

🌼 複雑なようですが、基本は「育児休業中の生活保障」として働いていない部分をカバーしてくれる制度。勤務先の総務や社労士と相談しながら進めると安心です。

4. 産休・育休中の社会保険料はどうなる?

産休や育休中は、会社を休んで収入が減るだけでなく、出費も気になるのではないでしょうか?特に、働いている人にとって一番大きい出費は「社会保険料」という人もいるのではないでしょうか?「社会保険料は払わないといけないのかな…?」と不安に思う方も多いでしょう。
ご安心下さい!実はこの期間中、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は“免除”される制度が整っています。しかも、将来の年金額にも影響しないという嬉しい仕組みです。

4-1. 健康保険・厚生年金の保険料が免除される仕組み

産休・育休中は、以下の要件を満たすと、社会保険料が免除されます。

【産休中の免除】

  • 対象:産前42日(多胎妊娠は98日)+産後56日間
  • 条件:健康保険・厚生年金保険の被保険者であること(扶養者は対象外)

【育休中の免除】

  • 対象:子どもが1歳になるまで(延長の場合は最長2歳まで)
  • 条件:以下の両方を満たす必要あり
     ① 育休を取得している
     ② 事業主が年金事務所等に「育児休業取得者申出書」を提出していること

🌼 免除は“自動”ではなく、会社を通じて申請が必要です。忘れずに人事・労務担当へ伝えておきましょう!

4-2. 「免除されたら年金が減るのでは?」の心配は不要!

「保険料を払っていない期間があると、将来もらえる年金が減るんじゃないの?」
そんな不安を感じる方も多いかもしれません。

でもご安心ください。育児休業中の免除期間は、厚生年金保険上では“保険料を払ったもの”とみなされる特例があり、将来の年金額にマイナスの影響はありません

つまり、

✨ 育休中:保険料は払わなくてOK
✨ 将来の年金額:ちゃんと加算される(※標準報酬月額の計算に含まれる)

となります。

4-3. 扶養に入っている場合は

配偶者の扶養に入っている人(たとえば専業主婦やパート勤務の方)は、もともと社会保険料を負担していないため、この免除制度の対象にはなりません。
あくまでも、「会社員や公務員などの被保険者として保険料を支払っている人」が対象になります。

4-4. ダブルのメリットを活かそう!

産休・育休中は、

  • 給与がなくても「出産手当金」や「育児休業給付金」で収入がある
  • 社会保険料が免除される
  • 将来の年金にも影響しない

という金銭的に非常に優遇された期間です。

🌼 制度を正しく知って準備しておけば、「休むこと」への不安を手放せます。
家族の時間を大切にしながら、将来への備えも万全にできるのがこの制度の魅力です。

5. 会社員・パート・フリーランスで違う?対象となる人の条件まとめ

育児休業給付金や社会保険料の免除制度――これらは非常に手厚い制度ですが、すべての働く人が自動的に受けられるわけではありません
実際には「どんな働き方をしているか」によって、使える制度が異なります。ここでは雇用形態ごとのポイントを整理してみましょう。

5-1. 正社員・契約社員など(雇用保険・社会保険あり)

対象になる制度:

  • 育児休業給付金(雇用保険)
  • 出産手当金(健康保険)
  • 社会保険料の免除(健康保険・厚生年金)

ポイント:

✅ 正社員・契約社員は、雇用保険・社会保険に加入していることがほとんどなので、基本的に全ての制度が利用可能です。
✅ 雇用契約の期間が、子どもが1歳6か月の時点まで続く見込みであることも要件に含まれます。
✅ 一般的には一番制度の恩恵を受けやすい立場です。

5-2. パート・アルバイト(短時間労働者)

対象になるかは、勤務先での「保険加入の有無」による

  • 雇用保険に加入していれば → 育児休業給付金の対象
  • 社会保険に加入していれば → 出産手当金や保険料免除の対象

ポイント:

✅ 勤務時間・日数が一定以上ある場合(週20時間以上など)、雇用保険・社会保険の加入対象となるケースが増えています。
✅ 加入していれば正社員とほぼ同じ制度が使えます。
✅ ただし、扶養の範囲内(年収130万円未満など)で働いている場合は保険加入がないため、制度の対象外になります。

5-3. フリーランス・個人事業主

利用できる制度:

  • 出産育児一時金(国民健康保険)
  • 国民年金の免除や納付猶予制度(条件あり)

利用できない制度:

  • 育児休業給付金(雇用保険未加入のため対象外)
  • 出産手当金(健康保険の被保険者でないため対象外)
  • 社会保険料の免除(厚生年金でないため対象外)

ポイント:

✅ 基本的に「育児休業」という制度の枠外です。
✅ ただし、国民健康保険から出産育児一時金(原則50万円)は支給されます
✅ 所得状況に応じて国民年金保険料の免除や猶予申請も可能です。

5-4. 配偶者の扶養に入っている専業主婦(夫)

利用できる制度:

  • 出産育児一時金(健康保険の被扶養者)
  • 医療費助成制度(地域による)

利用できない制度:

  • 出産手当金(本人が健康保険の被保険者ではない)
  • 育児休業給付金(雇用保険加入者でない)
  • 社会保険料免除(もともと払っていないため)

ポイント:

✅ あくまで「扶養されている立場」なので、手厚い給付の対象にはなりません。
✅ とはいえ、一時金など一部の支援制度は利用できます。

🌼 働き方や雇用形態によって、使える制度がこんなにも変わります。
「自分はどの制度が使えるのか?」を一度きちんと確認しておくと、いざというとき安心です。

6. まとめ 〜子どもがいる生活はプライスレス〜

子どもがいる生活はプライスレスです。

正直、子どもが生まれる前までの趣味も生活も霞んでしまうほどに、子どもが与えてくれる幸せは圧倒的かつ絶大。

ですが、私も妊娠前・妊娠中は不安でいっぱいでした。お金のこと、ちゃんと生めるか、育てられるか、夜泣きや授乳、おむつ替え…出来るかな…良い親になれるように頑張らないと、とあることないこと考えて調べまくったものです。

このコラムで、特にサラリーマンの場合は、産休・育休中も比較的収入を得られることがご理解頂けたかと思います。お金に関しては少しホッとされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そして、子育ての先輩たちの話しによると、高校生・大学生になると、びっくりするほどお金がかかると言います。でも、安心して下さい。まだ赤ちゃんがいないのでしたらあと10年以上時間はあります。その10年間で、貯蓄をするにしても利子が高い銀行にしておく、投資をしても利益に税金がかからないNISAなどを利用するといった手段もあります。工夫をしながら楽しみつつ、お金を貯めて頂ければと思います。お金を稼ぐ姿やお金との付き合い方も、お子様への良い教育になるかと思います。また、仮に色々な事情があって貧困家庭になってしまったとしても、高校や大学に進学出来るような支援もあります。例えば、奨学金も返済不要のものを貰う事ができます。

最後にもう一度・・・
子どもがいる生活はプライスレス!

どうか、お子さんがいる生活を楽しんで頂ければと思います^^

投稿者プロフィール

分かる税!編集部
分かる税!編集部
税理士事務所にてサイトを作って約10年。
税制は複雑化していく一方で、税理士を必要としない人々の税に関する知識は更新されていない…と感じ、より多くの人が正しい税知識を得て、よりよい生活をしてもらえたらいいなぁと思って開設したサイトです。

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